艦齢111歳のコムーナは、「幸運」という言葉ではとても足りないほど運に恵まれてきた。だが、その運もついに尽きたのかもしれない。ウクライナ国防省は21日、ロシア占領下クリミアのセバストポリに停泊していたコムーナを海軍が攻撃したと発表した。ウクライナ国産の巡航ミサイル「ネプチューン(ウクライナ語の発音に即せばネプトゥーン)」が使われたとみられている。
Another bad day for the russian Black Sea Fleet.
— Defense of Ukraine (@DefenceU) April 21, 2024
Today, the Ukrainian Navy hit the russian salvage ship "Kommuna" in temporarily occupied Crimea. The nature of the damage is being verified.
Despite being the oldest ship in service with the russian Black Sea Fleet, Kommuna is… pic.twitter.com/xrJtZtvN4i
とりわけ、黒海艦隊の潜水艦部隊にとっては悪い日になった。黒海艦隊の数少ない潜水艦は、緊急時の支援をコムーナに頼っているからだ。
ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻した時点で、黒海艦隊には大型艦がコムーナを含めて35隻前後あった。以後、2年2カ月ほどの間に、ウクライナ側のロケット弾や巡航ミサイル、水上ドローン(無人艇)、破壊工作によってその3分の1近くを失っている。
それには巡洋艦1隻、潜水艦1隻、補給艦1隻、哨戒艇数隻、ミサイルコルベット2隻、揚陸艦少なくとも6隻が含まれる。ロシア海軍はさらに、貴重なベリエフBe-200水陸両用機も1機失ったもようだ。だが、コムーナの被害は黒海艦隊にとって、これまでで最も手痛い打撃になった可能性がある。
ロシアはウクライナとの交戦で失ったどの大型艦も、すぐには代替できない。水深の浅いヴォルガ川とドン川経由でアゾフ海、黒海まで通航できない艦艇は、黒海に入るには地中海からマルマラ海を航行し、ボスポラス海峡を抜けるしかないが、ボスポラス海峡を管理するトルコは、政策として戦時中は外国のあらゆる軍艦にこの海峡の通航を認めないからだ。