およそ1世紀半にわたり、印象派についてはさまざまな研究が行われ、数えきれないほどの数の展覧会が催されてきた。だが、印象派の「誕生」を記念するものは、これが初めてだという。
写真家のフェリックス・ナダールが使用していたパリ・カプシーヌ通り35番地のアトリエで開かれた第1回印象派展では、「印象派」という名の起源となったクロード・モネの『Impression Soleil Levant(印象・日の出)』をはじめ、160点以上が紹介された。
「印象派」は当時のジャーナリストなどが展覧会に出品した画家たちを嘲笑するために使った言葉だが、画家たち自身も受け入れ、広く一般に浸透していったとされている。
このとき披露された作品のうち、前例がないほどの数の借用を実現したオルセー美術館での展覧会は、米ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー・オブ・アートでも9月8日~25年1月19日まで開催される。
求めたのは自由と独立
「印象派」に加わったのは、毎年「サロン・ド・パリ」(官展)を開催していた芸術アカデミーの確立された評価基準から解放されることを願った30人ほどの無名の画家たち。独自に展覧会を開くことを決意した彼らが実現した第1回印象派展には、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、ベルト・モリゾ、ポール・セザンヌ、カミーユ・ピサロなどの作品が出品された。
この展覧会の様子を収めた写真はなく、それほど多くの記録が残されているわけでもない。だが、オルセー美術館が再現した歴史の一片は、そして同時に開催されるバーチャル展示会「Tonight with the Impressionists Paris 1874(印象派画家と過ごす一夜 1874年パリ)」は、1874年春の当時の「現代的な創造」に浸る経験を、来場者たちに提供している。