欧州

2024.04.14 10:00

ロシア海軍、3機しかない貴重な新型飛行艇の一機失う ドローン攻撃で

ロシア海軍のベリエフBe-200水陸両用機。2020年7月、サンクトペテルブルクで(JetKat / Shutterstock.com)

損傷したBe-200は修理可能かもしれないし、修理不能で4000万ドル(約61億円)相当の損失になるかもしれない。いずれにせよ、航空基地や指揮拠点、製油所など、最大1000km超離れたロシア領内の目標に対する攻撃を激化させているウクライナのドローン部隊にとっては、ささやかながら新たな勝利になった。
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ウクライナによるロシア領内へのドローン攻撃はロシアの製油能力を10%ほど落ち込ませたほか、イランで設計されたシャヘド自爆型ドローンのロシア唯一の工場の施設に損傷を与えた。また、ロシア軍の戦闘機連隊の機体なども執拗に狙い、損傷させている。母数が少ないとはいえ、今回の攻撃ではロシア軍の最新飛行艇の3分の1を失わせた可能性がある。

補足しておけば、エイスクの航空基地で被害を受けたBe-200は、もしかすると海軍の所属ではなく、製造元のベリエフ社がテスト用に所有している2機のうちの一機だった可能性もある。

アゾフ海を挟んでエイスクの対岸に位置するロストフ州タガンログにはベリエフの工場があり、そこではBe-200やA-50早期警戒管制機など大型機が製造されている。ウクライナ側は今年、ロシア空軍のわずか9機かそこらのA-50のうち、2機を立て続けに撃墜したあと、3月にこの工場をドローンで攻撃していた。損傷した別のA-50の破壊を狙っていたようだ。
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ウクライナのドローン部隊は今回、ロシア海軍から貴重な捜索・輸送機を奪うべく、Be-200に照準を合わせたのかもしれない。あるいは、ベリエフの工場を再び狙ったのかもしれない。

Be-200がドローンの攻撃目標だったにせよ、ドローンが突入した地点にたまたまあったにせよ、その損失は一時的であれ恒久的であれ、すでにひどく消耗しているロシア海軍黒海艦隊やその支援部隊をさらに消耗させた。ウクライナ側はミサイルや水上・空中のドローン、破壊工作によって、これまでに黒海艦隊の大型艦の4分の1と航空機数機を破壊するか損傷させている。

Be-200を生産する工場がウクライナ側のドローンによる攻撃にさらされ続ける限り、ロシア側は失ったBe-200を補充することも難しいだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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