2024.03.19

1912年に沈んだ豪華客船「タイタニック号」再現計画、豪富豪が再始動

タイタニック2号のイメージ図(ブルースターライン)

鉱業で財を成し、オーストラリアの連邦議会議員を務めたこともあるクライブ・パーマー(69)が、沈没した英豪華客船タイタニック号の複製を建造する計画を再び始動させた。「オリジナルよりも格段に優れ」「スタイルと豪華さ」を提供しながら世界を巡る客船になるとしている。

世界の富豪ランキングで732位(3月14日時点)のクライブ・パーマーはこのほど豪シドニーで記者会見を開き、タイタニック2号を建造する夢は健在であり、造船所を確保して来年早々にも建造が始まる予定だと語った。

パーマーは過去に2回、タイタニック2号のプロジェクトの開始と中止を繰り返した。「以前より多くの資金を手に入れた」ため、計画は以前にも増して現実味を帯びているとパーマーは語ったと英紙ガーディアンは報じた。

パーマーが所有するブルースターラインが計画しているタイタニック2号は、基本的に1912年に沈没したタイタニック号を忠実に再現し、有名な大階段や喫煙室、劇場、カジノ、クラスごとのダイニングルームなどが含まれる。最も本格的な体験に興味がある人向けに、シチューとマッシュポテトを長テーブルで提供する3等食堂も設ける。

9つのデッキを設けるタイタニック2号の3Dレンダリングによると、客室総数は835で、内訳は1等室が383室、2等室が201室、3等室が251室。乗客定員は2345人だ。乗客には1900年代初めの衣服着用が推奨されるが、義務ではない。

2027年6月に予定されているタイタニック2号の処女航海は、タイタニック号と同じ航路をとり、英南部サウサンプトンから米ニューヨークへと航行する。料金はまだ発表されていない。

ガーディアンによると、パーマーは総トン数5万6000トンのタイタニック2号の建造費用を5億〜10億ドル(約745億〜1490億円)程度と見込んでいるという。

パーマーはガーディアンに「タイタニックに取り組む方が、家で金を数えるよりずっと楽しい」と語った。

パーマーの3月14日時点の推定資産は43億ドル(約6410億円)で、オーストラリア富豪ランキングで13位だ。パーマーは1984年に豪州で資源開発会社のミネラロジーを立ち上げ、現在は石炭探査のワラタ・コールやニッケル精錬のクイーンズランド・ニッケルなども運営している。

パーマーは、香港を拠点とする鉱山採掘会社シティック(中国中信集団)が採掘する鉄鉱石鉱区を西オーストラリア州に所有。数年前、鉱山使用料をめぐるシティックとの訴訟がパーマーに有利な結果となり、パーマーの資産は急増した。ミネラロジーとシティックの訴訟は現在も続いている。
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翻訳=溝口慈子

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