電気通信大学と東京電機大学は共同で、操作者の口の動きや表情をリアルに再現するアンドロイドアバター「Yui」（ゆい）を開発した。アンドロイドアバターとは、外観が人にそっくりな遠隔操作型ロボットのこと。操作者の代理として働くロボットで、認知や知覚の能力を有するものを言う。
現在、遠隔コミュニケーションを目的とした人の動作をリアルに再現するアンドロイドの研究と、遠隔操作ロボットから現場の知覚情報を正確に操作者に伝える研究が各方面で進められているが、その両方の体験を満足させるものはなかった。Yuiは、世界でも珍しい「操作者が得る臨場感と対面者が得る操作者の存在感を両立するアバターシステム」ということだ。
Yuiの両目にはカメラ、両耳にはマイクがあり、操作者には立体映像と立体音響が伝えられるので、音源の位置や対面する人との距離などがリアルに伝わる。操作者は専用のヘッドセットを介して目や口の動きなど、細かい表情をYuiに伝えることができる。Yuiには28の変化や動きを表現する機構が備わっていて、操作者の顔の動きがほぼそのまま再現される。
そのため、ビデオ会議や音声通話と違い、実際に対面で会話している感覚がより強く得られるという。「細やかな気遣いや信頼が必要とされる診療や面談といったシーンへの応用も期待できます」と研究チームは話している。将来的に操作者の表情を強調したり抑制したりする効果を加えることで、「対面を超えるコミュニケーション」も可能になるとのことだ。
プレスリリース
