ビットコインは11日午前、約5%上昇して7万2393ドル(約1060万円)を付けた。
世界最大の暗号資産であるビットコインは、この1週間で12%近く上昇している。年明けの価格は約4万2000ドルで、年初来では約70%の値上がりとなる。先週に6万9000ドルを突破し、相次ぐスキャンダルや大手取引所の破綻を受けて市場が暴落した2021年以来となる史上最高値を更新したばかりだ。
ビットコインに大差をつけられつつも世界第2位の暗号資産となっているイーサも、先週1週間で16%近く上昇し、4064ドル(約600万円)を付けた。イーサが4000ドルの壁を突破したのも2021年末以来で、年初来の値上がり率は約80%に達している。
BNB/バイナンスコイン(27%)、ソラナ(14%)、ドージコイン(7%)、柴犬コイン(30%)、アバランチ(5%)、ポルカドット(11%)など、小規模ながら価値のある暗号資産もこの1週間で上昇した。
暗号資産の高騰を後押ししているのは、投資家の熱意の高まり、ビットコインの現物に連動する上場投資信託(ETF)の承認、そしてビットコインの供給量を制限しマイニング報酬を半分に減らす「半減期」が目前に迫っているとの予測だ。ビットコインの半減期は毎回、価格上昇をもたらしてきた。
ETFについては、米証券取引委員会(SEC)が1月に初めてビットコインETFを承認。11日には英金融規制当局がデジタル資産に対する姿勢を軟化させ、一部のビットコイン関連証券の上場を認可すると発表した。
本記事執筆時点での暗号資産市場の総額は、2兆8400億ドル(約417兆円)に上っている。市場は直近24時間で約4%p、同1週間で約8%成長した。暗号資産全体の市場価値はこの1年間で1兆ドル弱から約3兆へと約3倍になった。
市場の約半分を占めるビットコインの時価総額は約1兆4100億ドル(約207兆円)。イーサリアムは同4845億ドル(約71兆円)で、ビットコインに遠く及ばないものの市場の約17%を占める主要勢力となっている。これ以外の暗号資産で時価総額が1000億ドルを超えているのは、世界最大のステーブルコインであるテザーだけだ。
11日には、ドナルド・トランプ前大統領から、ビットコインに好意的な発言もあった。トランプはビットコインについて、独自の「命を得た」「追加的な通貨形態」と評し、今年の米大統領選で再選を果たした場合は暗号資産に緩和的なアプローチをとる可能性を示唆した。
共和党の候補指名が確実視されているトランプは、ビットコインの話題を「現時点では取り上げたいとは思わない」と述べ、自身は「1つの通貨」である米ドルのみを望む伝統主義者であり「各国がドルから離れることは許さない」と強調もした。ただ、数年前にビットコインを「詐欺」と酷評し、暗号資産分野は「災害を待っているようなもの」だと語っていた時と比べると、大きく異なるスタンスを示した。
(forbes.com 原文)