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2024.03.02 09:00

米国で導入進む「従業員のAI評価システム」への賛否両論

ファストフード業界では、従業員の生産性を記録し、判定するAI監視ツールの導入が進んでいる。ドミノ・ピザは、2019年にオーストラリアとニュージーランドの全店舗に「DOMピザチェッカー」を導入した。このチェッカーは、オーバーヘッドカメラで何百万枚ものピザをスキャンし、AIと機械学習を用いて作業員が正しいトッピングを加え、均等に配分していることを確認する。また、オーストラリアをテーマにしたカジュアル・ダイニングのアウトバックステーキハウスは、AIを使って料理の提供時間や接客係の顧客対応頻度を監視している。

AIで進化する「監視システム」

現在48歳のビアンキは、20年前にビデオ監視システムを提供するOmni Security(オムニ・セキュリティ)を設立した。彼は、ビジネスオーナーたちが従業員の行動を記録しても、映像を確認する時間がなく、有意義な洞察を得ることができていないことに気づき、ホプティクスの事業をスピンアウトさせた。野球が趣味というビアンキは、野球チームが選手のデータを詳細に分析していることに触発されたという。

「我々が現在行っているのは、研究開発だ。野球などで何十年も前から行われている手法を、同じく体を使う他の分野に適用しているに過ぎない。手始めにレストラン業界から始め、他の業界にも広げていきたい」と彼はいう。

ライリーには、AIが書き起こした音声や、顔認識技術による従業員の認識が正確であるか確認する仕組みがあり、これらの精度は96~99%を達成しているという。AIが間違っていた場合に備え、従業員のスコアカードはビデオカメラの映像にリンクされており、店長が手作業で確認できるようになっている。

デイリークイーンの店舗を運営するヴァルカノフによると、従業員の中にはAIによって常に監視されることに疑問を呈する者もいるという。「我々は、AIだけに頼ってレストランを経営しているわけではないことを従業員たちには伝えている。しかし、AIの効果によって給与が増えたり、週次の優秀スタッフを表彰するボードに自分の名前が掲載されるようになると、そうした疑問はなくなる」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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