NFLのスウィフト化
テイラーが初めてトラビスの試合に姿を見せたのは、ホームでの対シカゴ・ベアーズ戦だったが、視聴者数は2430万人を記録、同週に放送された他のどの番組より12歳から49歳の女性視聴者が多く、スイフティーズと呼ばれる彼女の女性フォロワーの存在を実証することとなった。テイラーは昨シーズン、チーフスの試合を13回会場で観戦し、その姿は頻繁に中継やニュース番組、SNSで拡散された。その間にトラビスは毎試合大活躍。チーフスは10勝を挙げ、相乗効果はプレイオフを経てスーパーボウルで頂点に達した。
テイラーの出現は、NFL、チーフス、トラビス家にも巨大な利益をもたらした。製薬会社ファイザーは、9月初旬からコロナ対応ワクチンのブースター注射を促すテレビCMにケルシーを起用していたが、彼とテイラーの恋愛が拡散されるにつれ、コロナワクチン関連のネット検索にファイザーが含まれる比率が32％も上昇。ケルシー・ブランドの価値は高騰し、同じくNFL選手として活躍する兄のジェイソンと共演しているポッドキャスト番組は、Appleプラットフォームで聴取率1位に上昇、アマゾン・プライム・ビデオで放送されていた兄弟出演番組も、ドキュメンタリーでトップ視聴数を獲得した。彼の選手俸給以外の収入が急増したことは言うまでもない。ニューヨークが拠点のビジネス誌Fortuneは、スーパーボウルまでに、NFLとチーフスが獲得したテイラーによる経済効果は3億3000万ドルにおよぶと推測。NFL中継にチーフス戦が組まれると、視聴率は5％増え、テイラーが会場に来た試合では28％上回ったとされる。特にスポンサー企業が貴重な消費者層として位置付ける女性の視聴が、従来のNFL戦中継より12歳から17歳では53％、18歳から24歳では24％、35歳から64歳では58％も増加したことから、NFLの媒体価値が急増した。
エラズ・ツアー、グラミー賞、スーパーボウルとテイラーがメディアに取り上げられない日が無いハイプ状態が継続してきた。
