欧州

2024.02.13 13:30

アウジーイウカ救援へウクライナ軍が予備の部隊投入か 「徹底抗戦」決断の可能性

ロシア側は好機とみた。ウクライナのシンクタンクである防衛戦略センター(CDS)は「敵の航空部隊はウクライナ東部、なかでもアウジーイウカ近辺での攻撃を支援するために、1日あたりの延べ出撃数を増やしている」と報告している。これはウクライナ側の「対空誘導ミサイル不足の結果」だとも指摘している。

ロシア側の爆弾は第110旅団の最良の防御陣地に降り注ぎ、交互に組み合わさった火力区域を爆破して穴を開けた。そして先週、ロシア軍の歩兵は、悪天候でウクライナ側のドローン(無人機)が飛べなくなったのに乗じて北側からアウジーイウカ市内に徒歩で入り、フルシェウスキー通りがほぼ見える辺りまで南下した。

敵に最大限の損害を与えつつ、時間を稼ぐために空間を犠牲にする機動防御に専念する軍隊なら、防御している場所への歩兵の侵入は、戦いながら撤退する引き金になったかもしれない。

ウクライナ側がアウジーイウカを、ロシア側を消耗させるための罠と考えているのなら、ロシア側の戦死者がウクライナ側を上回っている間に撤退する必要がある。

アウジーイウカで次に何が起こるかは誰にもわからない。第3強襲旅団が実際に投入されたのだとすれば、フルシェウスキー通り近くのロシア軍陣地を狙った反撃が予想される。

だが、ウクライナ側が突然、予備の弾薬を大量に見つけるとは期待しないほうがよいだろう。米国が長期にわたり孤立主義と権威主義を深めるのに備え、欧州諸国は自国の軍隊への投資を増やしている。これは、砲弾やミサイルの生産への支出を増やしているということでもある。

とはいえ、これらの弾薬がウクライナに届くには何カ月もかかる可能性がある。そのため、米国の共和党議員が妥協したり、米政府がどうにかしてアウジーイウカに新たな援助を急送できるようになったりしない限り、第110旅団や増援部隊の武器庫は今後も急激に払底していくだろう。

弾薬が尽きれば、アウジーイウカを守る旅団が1個だろうが2個だろうが関係なくなる。ウクライナ軍の指揮官たちがアウジーイウカの兵力を増強すると決めても、その決断はせいぜい無意味なものになる。

最悪の場合、ウクライナ軍の部隊はアウジーイウカを守りきれなくなって西へ退避しようとした際に、大量の血を流す結果になりかねない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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