アート

2024.01.27 12:00

ボールペン・アート。筆記具メーカー仏BICが拡張する表現の世界

(C)instagram @bic.create|Cornelius Van der Great - Antoine Van Dyck(1599-1641)by @littlebicman , France BIC Cristal and BIC 4-color on old paper.

(C)instagram @bic.create|Cornelius Van der Great - Antoine Van Dyck(1599-1641)by @littlebicman , France BIC Cristal and BIC 4-color on old paper.

パリ北郊のクリシーを拠点とする筆記具メーカー、BIC(ビック)の創業者マルセル・ビックは1948年秋、庭で一輪車を押しながら、その3年前に米国のレイノルズ(Reynolds)が発売したボールペンのことを考えていた。
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安価なボールペンで書かれた文字は、自社が手掛ける万年筆で書いたものより劣ると思いながらも、ビックはボールペンに魅力を感じていた。そしてこのとき、ビックは一輪車が土の上に残した跡から、あることに気がついた。

その車輪と同じように、ボールペンは引っ掻くことではなく、転がるものによって、跡を残しているのだ──このときビックは、より滑らかな、書きやすいペンを作ることができるはずだと思いついた。

それから2年後、ボールペンの特許権を買い取ったビックは、改良したボールペン、「BIC」を発売した。以来、同社は世界中で1000億本以上のボールペンを販売している。

ボールペンは「画材」に

BICのボールペンは、文字を書くという実用的な目的のためだけではなく、「絵を描くための道具」として、多くのアーティストたちに使用されている。初期のボールペン・アートで知られるのは、アルゼンチン生まれのイタリア人画家、ルーチョ・フォンタナだ。
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ナチス・ドイツの迫害を逃れるため、同じアルゼンチンに亡命していたハンガリー人、ラースロー・ビーローが開発、自身の名にちなんだ商品名で発売していたペンを使い、作品を仕上げた。

その後、フォンタナは1961年にも、BICが発売したペンを使い、座る裸婦の姿を描いた「Nudo Femminile Seduto」を発表。後には、ベルギーのヤン・ファーブルなどその他のアーティストたちも、ボールペンを画材とした作品を完成させている。

オンラインで「BICアート」を紹介

BICは2016年、パリ・セルジー国立高等美術学校とともに、現代アートをたたえる賞を創設。2018年にはパリで、世界中のアーティストたちがBICのペンで描いた作品を展示する「La Collection Bic」を開催した。

2023年4月には「BIC Art & Creativity」のグローバル・ブランドマネージャー、アリックス・デュフォーが、インスタグラムにボールペン・アートを紹介するためのアカウント、BIC.Createを開設した。
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編集=木内涼子

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