アート

2024.01.27 12:00

ボールペン・アート。筆記具メーカー仏BICが拡張する表現の世界

この取り組みについて取材に応じたデュフォーがまず指摘したのは、ボールペンの「普遍性」だ。このペンは大半の人にとって入手が可能な、「最も安価な表現手段の1つ」だという。

「創作活動に必要な道具一式を、誰もが購入できるわけではありません。そのことを、心に留めておく必要があります。多くのアーティストたちは、最も使い勝手が良く、手ごろな価格でもある製品を求めています」

フォロワー数がすでに約9万人に達しているこのアカウントは、「素晴らしい才能を持つ世界中のアーティストたちの作品に光を当て、彼らの素晴らしい作品のすべてを1つの場所に集める」ためのものだという。

さらに同社は次のステップとして、作品の紹介に限らず、クリエイターやアーティストたちを取り上げたビデオやインタビュー映像の公開を検討しているという。デュフォーは、「私たちは、ただ文具を作っているわけではありません。人間の表現のためのツールを作っているのです」と述べている。

創業者とアーティストの「共通点」

1994年に亡くなったマルセル・ビックは、ボールペンを作り、普及させることに成功したのは、自ら定めた「手法、精度、規律」を大切にするというルールのおかげだと考えていたという。

「手法」とは、取り入れる技術を特定すること。そして、液体であるインクを使用するペンのような、細部への注意が必要な機能製品を作るためには高い「精度」が必要となる。さらに、どのような試みであれ、人が前進するためには、「規律」が不可欠だ。

多くのアーティストたちは無意識のうちに、同様にこれらを信条としているのではないだろうか──彼らは使用するツールと手法を理解し、細部に焦点を当て、そして勤勉に、努力を続けている。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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