こうした危険があるにもかかわらず、ウクライナの空に飛来するMiG-29KRが今後増えたとしても、驚くべきではない。ロシア海軍のMiG-29KRの一部は北極圏での哨戒任務を担っているが、大半、つまり12機以上は戦時の作戦に投入できる可能性があるからだ。
MiG-29KRは当面、クズネツォフに載せられる必要もないと考えられる。ロシア政府はクズネツォフについて、年内に再就役できると楽観的な見通しを示しているが、オーバーホールは来年までずれ込む可能性がある。
さらに言えば、永遠に復帰しない可能性もなくはない。実際のところクズネツォフの戦闘力は非常に低い。老朽化したこの空母が展開するたびに乗組員が引き受けなくてはいけないリスクに見合わないほど、低いかもしれない。
クズネツォフが最後に展開したのは、2016年、シリアの反体制派を攻撃するために同国沖に派遣された時にさかのぼる。その任務中、着艦制動装置の故障で、空母の航空団はMiG-29とSu-33戦闘機を各1機失う羽目になっている。ロシア海軍首脳部は、予定されていたオーバーホールの前にこれ以上クズネツォフで飛行作戦を行うのは危険だと判断し、残りのMiG-29を含め、航空団をシリア国内の航空基地に移動させる措置をとった。
(forbes.com 原文)