2024.02.03 10:00

忙しいほど喜ぶ。日本人が総支配人を務めるバリの高級リゾートの秘密

マンダパ・リッツ・カールトン・リザーブ(C)Mandapa

この機会は、現場のスタッフに自分の意図がしっかり伝わっているか、細谷氏自身が確認する場でもあるという。なかでも意識にしているのは、マネジメントレベルと現場とを繋ぐ、中間管理職的な立場のスタッフに対しての関わり方だ。
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「ちゃんと成功している会社は、トップの人と現場の人で重要視するポイントが揃っている。トップが伝えるメッセージに現場が共感していることが重要だと思うので、温度感を常に確認しています」

その「メッセージの繋ぎ役」として重要な役割を果たすのが、“中間管理職”にあたるスタッフだ。細谷氏は、「自分が考えていることを伝える」よりも「アイデアの提供を促し、それとなく誘導して、スタッフにプロジェクトを動かさせる」ことを大切にしている。「あなたを信じているので頑張って」という姿勢を見せることで、自然にチームが一つの方向性を向くのだという。

こうしたマネジメントのもとで、スタッフのなかには「忙しいほど喜ぶ」人も多いという。その理由のひとつは、インドネシア政府が決めた法律にある。それは、ホテルのサービス料のうちある一定の割合を、駐在員以外の地元スタッフの間で、肩書きにかかわらず均等配分するというものだ。

当然ながら、高級ホテルほど客単価が高いため、忙しい月には、その配分が若いスタッフの月給の何倍もにもなることも少なくない。忙しくなった分還元される、という仕組みが明確なぶん、笑顔で働ける。それが高いモチベーションとロイヤリティにつながっているというわけだ。
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細谷氏がもう一つ大切にしているのは、「成功しているからこそ、変える」ということ。例えば、マンダパはもともとアクティビティの聖地として知られているが、「うまくいっていても、ずっと同じことをしていてはだめ。それまでの自分たちをいかに超えていけるか。今まであったことを白紙にして、チームにチャレンジし続ける精神性を養いたい」と語る。


バリ島はラグジュアリーリゾートの数も多く、競争も激しい。そんな中で、細谷氏は同業者同士と協力し、旅先としてのウブドのブランド力を強化する動きを始めている。同じウブドにあるラグジュアリーリゾートの総支配人らを招いて食事会を開催するなどして、気軽に話し合うことができるネットワークを構築しているのだ。

「ライバルではあるけれども、それぞれに持ち味が違う。ウブドをハイエンドなデスティネーションにする、という共通の目標に向かって一緒に頑張る仲間と捉えています」

その根底にあるのは、共感と連帯で、未来を生み出していくこと。リザーブが掲げる「ヒューマン・コネクション」は何もゲストに対するものだけではない。組織そのもののあり方でもあるのだ。

文・写真(一部)=仲山 今日子

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