7月13日月曜日、ウォールストリートのアナリストらはFitbit株について好意的なリポートを相次いで公開した。Fitbitは米国のフィットネス・トラッカー市場で85%のシェアを誇り、2年前の59%から急拡大している。6月にIPOを果たしたFitbitの株価は、好調な推移を見せている。
投資銀行PiperJaffrayのアナリスト、エリン・マーフィーは「Fitbitがこのカテゴリを代表する存在になった」と記した。言い換えれば、Fitbitはフィットネス分野のクリネックスになったということだ。
アナリストらはFitbitの成長性を確信し、ある種の熱狂とも言える状態にある。IDCのリポートによると、フィットネス・トラッカーは他のカテゴリの電子機器よりも早いペースで普及が進んでいる。
モルガン・スタンレーのケイティ・ユベルティは「かつて、ウェアラブルはニッチなジャンルだとか、一時的流行だとの見方もあった。しかし、我々の調査では市場浸透度は米国ではノートブックのレベルに到達しており、来年はさらに増える見込だ」と記した。
米国でのFitbitの認知度は高く、今後は企業の健康プログラムでの利用も進んでいくだろう。現状ではFitbitの売上に占める企業利用の割合はまだ7%という段階だ。
グローバル市場に目を向けるとFitbitは既にウェアラブル業界のリーダーであり、34%の市場シェアを占める。ドイツ銀行のアナリスト、ロス・サンドラは「現状で活動量計デバイスを持つ消費者はまだあまり多くはない。今後、先進国市場の5%と新興国市場の2%を握るだけで約3100万台のフィットネス・バンドの需要が見込まれる」と予測する。(昨年、Fitbitは1000万台を売り切った)
さらに、新たなイノベーションがこの成長を加速させるだろう。サントラスト銀行のアナリスト、ロバート・ペックは「現状のデバイスはFitbitのビジネスの一部に過ぎない。今後は人々の健康とスポーツに関わる広範囲な領域をカバーする、ハードウェア/ソフトウェアのソリューションになるかもしれない」と述べた。
ドイツ銀行のサンドラはさらに踏み込んだ見方を提示した。「将来的にFitbitは、メールやSMSを表示したり、家の電気を点けたり、車のロックを解除したり、生活のあらゆる部分に関わるデバイスになっても不思議でもありません」
Fitbitの強敵とされるのがApple Watchだが、サントラストの調査によると、Fitbitに対する人々の関心度は、Apple Watchの3倍に及び、購入数もApple Watchを上回っている。FitbitはApple Watchよりも安く、バッテリーの持続時間も長い。(毎晩充電しなければならないデバイスで、睡眠量を計ることは難しい)。さらにFitbitは単体で動作可能な点も利点だ。
サンフランシスコに本拠を置くFitbitは昨年、売上7億4500万ドル(約921億円)を達成し、1320万ドル(約163億円)の純利益を計上した。同社のフィットネス・トラッカーは昨年、1090万台の販売台数を記録。これは、2013年の販売台数450万台の倍以上だ。
サントラストのペックは「同社の財政は非常に強い」と述べ、強力な成長率(2014年に150%)と利益率の高さ(45から50%)を指摘した。彼は今年の売上を14億ドル(約1732億円)、利益を1億4千万ドル(約173億円)と予想する。
Fitbitは株式アナリストの間でUnder ArmourやGoProなどと比較される。PiperJaffrayは「現在、成長指標は優良である」と記載し「技術を伴なった強力な消費者向けブランドである」と評価した。
Fitbit株は6月の公開初日に50%近く上昇し、1株当たり29.68ドル(約3670円)で取引を終えた。それ以降、公開価格から110%上げて、1株42ドル(約5194円)に到達した。株価は7月13日月曜にさらに5%上昇し、44.24ドル(約5470円)になった。