欧州

2023.12.17 09:00

ウクライナのM2歩兵戦闘車、30秒で装甲車3両を連続撃破 激戦地で戦闘再燃

M2ブラッドレー歩兵戦闘車。2023年3月、ポーランド・シュチェチンで(Mike Mareen / Shutterstock.com)

ロシア軍がこの2カ月、ウクライナ東部アウジーイウカの攻略に向けて、多大な犠牲を出しながら続けてきた作戦は、新たな局面を迎えた兆しがある。

ウクライナ軍の重要な守備拠点であるアウジーイウカ周辺では、ロシア軍の地上攻撃が先週鈍化した一方で、ロシア軍のドローン(無人機)によるウクライナ軍の補給線に対する襲撃が増えていると報告されている。

もっとも、ロシア兵がアウジーイウカのために死ぬのをやめたというわけではない。それどころか、ロシア軍が12日にアウジーイウカの北で行った地上攻撃は、これまでで最も激しいものの1つだった可能性がある。

攻撃を続けるロシア軍の部隊は、アウジーイウカ北郊の廃墟化した集落ステポベの周辺で、待ち構えたウクライナ軍の装甲車両にまみえている。ウクライナ軍の戦車は、徒歩で攻撃してくる歩兵部隊に対して至近距離から射撃している。ウクライナ軍の米国製M2ブラッドレー歩兵戦闘車は、道路や樹林帯に向けて機関砲で高速連射している。

ロシア側の結果は悲惨だ。ウクライナ軍のM2について、軍事アナリストのトム・クーパーは「歩兵への火力支援で有効であることを証明した」と解説している。いささか抽象的な言い方だが、要は攻撃してくるロシア兵をたくさん殺しているということだ。

重量28t、乗員・兵員計9人で、25mm機関砲や昼夜対応の光学機器、追加の爆発反応装甲を備えたM2は、ウクライナ軍で運用されている最高の歩兵戦闘車と言っていいかもしれない。もっとも、その称号に関しては、スウェーデンから供与されたCV90歩兵戦闘車も候補になるかもしれない。

最近、ソーシャルメディアで共有されたドローン映像では、M2の状況認識能力と火力、防御力が組み合わさって圧倒的な破壊力を発揮するさまが捉えられている。ロシア軍の装甲車両、おそらくはMT-LB装甲牽引車が3両、夜間にステポベ周辺を走行している。この集落に対する攻撃のため歩兵を運んでいたのかもしれない。
ウクライナ軍のM2が1両、待ち構えていた。ロシア軍の車列を発見すると、25mm機関砲で射撃し始める。200発/分、初速1100m/sで撃ち出される0.45kg弾は、わずか30秒のうちに3両すべてに命中したようだ。少なくとも2両は爆発を起こしている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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