話し言葉は予測不可能
自分が話しているときは、次にどんな言葉を発するか、多かれ少なかれコントロールできます。しかし、誰かとやりとりしているときは、相手にされるがままです。あるトピックや会話に基づいて、どんな単語が組み合わされ、どのような言葉が使用される可能性が高いかというパターンは確かにありますが、次にどんな語彙や文法が出てくるかはわかりません(ましてや、それが以前に勉強した単語や文法かどうかなんてことはわからないのです）。
会話において使用される文法や単語を予測できるようになるには、何年間にも及ぶ、たくさんの会話を積み重ね、脳内に十分なデータが蓄積されてから初めてできるのです。母語の場合は経験が豊富で、脳のデータがたくさん蓄えられているので、予測もつきやすく、言葉を素早く処理し、理解できるのです。何十万もの”これから発せられるかもしれない言葉”のうち、今まで脳が蓄えてきた文のパターンについてのデータから、次に来る「可能性のある」言葉を絞り込めるのです。
話し言葉は「動く標的」
話し言葉だけではありません。すべての言語は「動いている」のです。言語は常に変化しており、新しい単語が追加され、古い単語は使われなくなり（あるいは新しい意味を獲得し）、方言もまた進化し、まったく新しいスラングも登場します。
こんなふうに言語は日々変化しているため、習得しようとする言語の最新トレンドや特徴を知ることはとても困難です（外国語学習者のみならず、私は母国語の英語でも、Z世代のスラングについていけません）。
自分の住んでいる町や地域でも、年齢、学歴、民族、宗教、性別が異なる人々の話し方の違いに気づくことがあるでしょう。あなたがDuolingoで学んでいるような話し方をする人はいませんし、教科書のような話し方をする人もいません。
新しい言語を学ぶということは、「基礎を学ぶ」ということです。
新しい外国語を学ぶときにあなたがしていることは、世界でその言葉を使うための土台作りです。すべてを学ぶことはできないし、学ぶ必要もありません。ただ、適切なツールを手に入れることで、コミュニケーションを成功させる準備ができ、将来コミュニケーションをとることになる人々が話す言語の特徴を、身につけることができるのです。
自然な会話のスキルを身につけるには
これまで見てきたように、外国語の流れるような自然な会話のコツをつかむには、単語や文法、発音を知るだけでは不十分で、たくさんの練習とたくさんのデータが必要です。自然な会話のスキルを身につける最善の方法は、字幕を使って理解力をサポートすること、リスニングの練習をたくさんすること、音楽を聴くこと、そして実際に人とおしゃべりをするときには、勇気を出すこと、そして、自分に忍耐強くなることがポイントです。
（語学や学習に関する質問は dearduolingo@duolingo.com まで）
