福島県会津若松市の三義漆器店が開発したそのコップは、PLA(ポリ乳酸)という植物のデンプンから作られる生分解プラスティックで作られている。家庭で3Dプリンターを使っている人には馴染み深いPALは、溶けると流動性が高くなる。そのため3Dプリンターには向いているが、それが射出成形ではアダとなる。1ミリ以下の薄さで成形するのが難しく、流動性を抑えようとすればコストがかかり、そのためPLA製品はあまり普及していない。
そこで三義漆器店は、PLA射出成形の第一人者であり、数多くのPLA射出製法の特許を持つ小松美智男氏とライセンス契約を結び、0.53ミリという世界でもっとも薄く、採算ラインに乗るプラスティックコップの製造を実現させた。
あのペコペコのコップと違って薄くても頑丈なので、縁の折り返しやデコボコ加工などがない美しい形になった。ガラスのコップと同じように何度も洗って使うこともできる。生分解性なので、使用後はコンポストに入れれば微生物が2カ月で水と二酸化炭素に分解してくれる。そもそも植物由来なので、たとえ焼却してもカーボンニュートラルだ。
三義漆器店はPLAグラスの発表と同時に、新たな脱プラスティックブランド「IZ EARTH」(アイヅ アース)を立ち上げた。その生産ラインが秋に竣工したとのことで、まもなくこれで乾杯できるようになるだろう。
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