同社のプレスリリースは「アルトマン氏は、取締役会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直さを欠いたため、取締役会の責任遂行能力に支障を及ぼしていたとの結論が導かれた。このため取締役会による熟慮の末の解任となった」と述べている。「取締役会は、彼がこの先もOpenAIを率いていける能力を持っているとは考えていない」
OpenAIの最高技術責任者(CTO)であるミラ・ムラティが暫定CEOに就任する。共同創業者であるグレッグ・ブロックマンは取締役会長の職を離れ、CEOの直属となる。
OpenAIにはコメントを求めているがまだ回答は得られていない。アルトマンは、次のようにツイートしている「OpenAIで過ごした時間が大好きだ。個人的には大きな変革だったし、そして世界にとってもちょっとした変革だったことを願っている。何よりもとても才能ある人々と働けたことを愛しんでいる。今後については後日詳しくお話ししたい」
取締役会は、OpenAIのチーフサイエンティストであるイリヤ・スツケヴァー、独立取締役であるQuora(クオラ)CEOのアダム・ディアンジェロ、テクノロジー起業家のターシャ・マコーリー、ジョージタウン・センター・フォー・セキュリティ・アンド・エマージング・テクノロジーのヘレン・トナーで構成されている。OpenAIが発表したプレスリリースによると「取締役会の過半数は独立役員であり、独立役員はOpenAIの株式を保有していない」という。
2015年に非営利団体として設立されたOpenAIは「安全で広く有益」なAIを構築することを使命として、世界で最も強力なAI企業の1つに成長した。初期の出資者であるイーロン・マスクとは意見の不一致で別れたが、アルトマンはOpenAIをシリコンバレーの新しいAIの波のリーダーとして育て上げた。
その成果は、大規模言語モデル「ChatGPT」が2022年11月に登場したことで一気に注目を集めた。コードの作成から学校のエッセイ、法的書類に至るまであらゆるものを革命的に変えたからだ。その直後、マイクロソフトは100億ドル(約1兆5000億円)の追加投資を行い、OpenAIは生成AIの最前線に立つことになった。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは生成AIに関して「PCやインターネットと同じくらい極めて重要だ」と語っている。