欧州

2023.11.17 09:00

爆索で地雷原開削、米国製「アサルト・ブリーチャー」がウクライナに

米軍のM1150アサルト・ブリーチャー・ビークル。2017年2月、ラトビア・ガルカルネで(Karlis Dambrans / Shutterstock.com)

米海兵隊のABV整備士ジョナサン・マリー兵長は、ABVを使えば地雷原の処理を、下車した工兵が手でやるより10倍速く行えると説明している
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とりたてて発表もせず、米国はウクライナにABVを少なくとも1両、おそらく6両(1個中隊分)は送っていた。ウクライナへの軍事支援についてホワイトハウスが定期的に行っている発表のなかでは、「地雷除去装備」というあいまいなカテゴリーに含まれていた可能性が高い。

こうした装備がウクライナ軍にとって必要なのは明白だ。ウクライナ軍は9月、南部ザポリージャ州でロシア軍の第1防衛線を突破したが、その奥にはさらに第2、第3の防衛線が築かれている。1000km近くにおよぶ前線のほかの防御区域では、地雷や塹壕、対戦車障害物からなる第1防衛線もまだ突破できていない。

ABVがウクライナ軍のどの旅団に配備されたのかは不明だ。だが、どの旅団がそれを必要としているかは明らかだ。
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ウクライナ軍が保有する西側製重装備のうち、最高のものを数多く運用している第47独立機械化旅団は、6月上旬に南部で反転攻勢を始めた当初、フィンランドから供与されたレオパルト2R重地雷処理車全6両も配備されていた。

しかし第47旅団は6月9日、ザポリージャ州の集落マラトクマチカの南で稠密な地雷原を突破するのに失敗し、レオパルト2Rも3両遺棄することになった。残りのレオパルト2Rは時折目撃されているものの、現在は生き残っている数がゼロに近づき、運用不能になりつつある可能性がある。

ABVは、プラウや厚い装甲などレオパルト2Rにある装備をすべて備えるうえに、レオパルト2Rにない爆索発射機も組み込まれている。爆索は発射して着弾後、起爆させることで、数百m先の地雷原を処理できる。

第47旅団(編集注:現在は東部アウジーイウカの防衛戦に投入されている)は数少ないレオパルト2RをABVで置き換えることで、6月に損耗した地雷処理能力を回復させ、さらには増強することができるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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