「フードバンクこども応援全国プロジェクト」は、全国のフードバンクが、行政、社会福祉協議会、小中学校などの教育機関と協力して、給食のない時期に集中して子育て世帯を食料支援する活動で、6回目となる今回は、12月1日から2024年1月31日まで実施される。フードバンク35団体を対象に行った調査では、今年9月の時点で支援要請の数が増加したと答えた団体が77パーセントと増加し、食料の寄付量は31パーセント増加したものの、37パーセント減少している。そのおもな原因は物価高だ。
同協議会では資金援助と食品寄贈を求めているが、諸外国と比較して日本の状況はあまりにも寂しい。たとえば、2020年に消費者庁が発表した調査報告によれば、フードバンクの数は日本が252団体なのに対してアメリカは1304団体。イギリスは2000団体以上。フランスも5400件の食料支援組織がある。アメリカのフードバンクの年間食料取扱量は739万トン。日本は約8000トンなので、その差はなんと900倍以上。アメリカの人口は日本の2.6倍ほどだが、それにしても桁が違いすぎる。
日本人は貧困は自己責任だとして援助する気持ちが薄いと言われるが、アメリカやイギリスでは公的な支援制度が整備されているため、博愛主義だけでこれだけの支援が実現しているわけではない。アメリカには余剰農作物を政府が買い上げてフードバンクに提供するシステムがあり、食品寄付に特化した税金の控除制度などもある。フランスでは一定程度以上の店舗はフードバンクなどの慈善団体との寄付契約の締結を義務づけている。ちなみにアメリカの寄付量は、食品ロス発生量を上回っていることから、積極的な取り組みが行われていることがわかる。
日本のフードバンクは、人材、食品保管、運搬、配布の能力といった組織基盤が脆弱であり、十分な支援ができずにいる。「海外のように公的支援による組織基盤の強化が必要不可欠」と全国フードバンク推進協議会は話している。
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