そこで、VRヘッドセット「VIVE」を製造する台湾のHTC、VRゴーグルを使ったヘルスケアプログラム「バーチャル・クリニック」を提供するアメリカのXRHealth(エックスアールヘルス)、仮想現実や航空宇宙分野の技術開発を行うデンマークのNord-Space(ノードスペース)が共同で、宇宙飛行士のためのVRセラピーシステムを開発した。
以前にも宇宙でのVRゴーグルの使用を試したことがあったが、仮想空間の位置基準として重要な役割を果たす重力がないこと、さらに宇宙船の動きによりトラッキングが失われて映像が安定せず、装着者が宇宙酔いしてしまった。そのままではVRゴーグルは宇宙で使えない。HTCは、ジェットコースターや飛行訓練用のシミュレーターVRモードで、コントローラーをアンカーポイントに利用する特別なトラッキング方式を開発。VIVE Focus3にその機能を加えて無重力版に改良した。
このシステムは、現在、ISSに搭乗中のデンマーク人宇宙飛行士アンドレアス・モーゲンセンが試すことになっている。ヘッドセットには、海でイルカと泳ぐ、山の尾根に沈む夕日を眺める、穏やかなデンマークの湿地帯を散歩するなど、モーゲンセン氏が選んだ故郷デンマークの360度映像が映し出され、心を癒すということだ。
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