損失は故障の結果だった可能性があり、乗員4人は故障後、脱出を余儀なくされている。いずれにせよ、今回のレオパルト2A6損失は2つの理由で注目すべきものだ。
1つ目は、ウクライナ側にとって残念なことに、レオパルト2戦車の損失がさらに膨らんだという点だ。ウクライナ軍はこの1週間あまりで、レオパルト2A4、レオパルト2A6、装甲を増強したスウェーデン版レオパルト2A5のStrv 122を少なくとも計12両、もしかすると13両損耗した。レオパルト2は、ウクライナ軍が保有するドイツ製戦車としては最高の戦車である。
ウクライナ軍は先週以前にもレオパルト2を6両失っており、合計すると全体の4分の1を失った計算になる。ウクライナを支援する西側諸国はウクライナに計85両のレオパルト2供与を確約し、これまでに71両を引き渡していた。
2つ目は、このレオパルト2A6が失われた場所と、それがウクライナ軍の戦争計画において意味することだ。ウクライナ軍でレオパルト2A6を運用する部隊は、陸軍の第47独立機械化旅団だけである。つまりレオパルト2A6がアウジーイウカ周辺に現れたということは、第47旅団の全体もしくは大半がドネツク市のすぐ北西のこの町に出てきているということを意味する。
3 abandoned bradleys and a leopard 2A6 with unknown condition in avdiivka.
— 2S7 pion (trost) (@Trotes936897) November 1, 2023
It's the same leopard that was lost yesterday and it appears that the bradley that went to rescue the crew was also lost. pic.twitter.com/SjPZiw2d8p
第47旅団にとってこの数カ月は過酷なものだった。21両のレオパルト2A6のうち数両のほか、米国製M2ブラッドレー歩兵戦闘車も数十両失った。さらに、歩兵や車両乗員の損害も数百人規模で出した可能性がある。損害があまりに深刻だったため、ウクライナ軍参謀本部は戦闘のさなかに旅団司令部の入れ替えを迫られたほどだ。
南部での反攻の勢いが弱まった10月、第47旅団は休息やリセットの時期に入っていたようだ。一部の部隊については、前線の後方で訓練している様子が撮影されている。
ロシア軍の第2諸兵科連合軍が、アウジーイウカのウクライナ軍守備隊に対し、数個旅団を投入する猛攻を始めたのは同月10日のことだった。ウクライナ軍の守備隊には、疲弊した第110独立機械化旅団などが含まれる。ロシア軍攻撃が、別の前線で反攻作戦を進めるウクライナ軍の旅団をそこから引き剥がし、アウジーイウカ防衛戦に張り付ける狙いなのは明らかだった。
しばらくの間、ロシア側の狙いどおりにはならなかった。「ウクライナ当局は、アウジーイウカへの攻勢はロシア側による『固定作戦』だと認識しており、この軸に過剰な兵力を投入する公算は小さい」ワシントンD.C.にある戦争研究所(ISW)は11日時点でそう指摘している。