IoBとは、ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)を使って思考を読み取りデジタルデータとして出力できるようにする技術。考えるだけでロボットを操作したり、言葉を介さずアイデアを人に伝えたりできるようにするというものだ。映画『マトリックス』のように身体に穴を開けたりせず、ヘッドホンやイヤホンのような身体に負担がかからない脳波センサーやカメラなどを組み合わせて用いることが想定されている。心的状態を可視化したり、意思の疎通が困難な人とのコミュニケーションを円滑化させるという用途も考えられる。
しかし、こうした技術にはどうしてもダークなイメージがともなう。社会的、倫理的などんな問題が起きるか知れない。そこを対策しないまま、というか気づかないまま、バラ色の未来だけを夢見て一気に進化し普及してしまったインターネットの現状を見れば、心配も大きい。そこで、この技術の明るい未来だけでなく、ダークサイドも含めた近未来の様子をクリエイターたちに想像してもらい、研究の指針にしようというのがこのプロジェクトだ。
公開されたコンテンツ第1号は、漫画家Ququ氏の描きおろし作品『.raw(ドットロー)』。神経科学者、笹井俊太朗氏の「心をつなげるBMI」の研究をテーマにしている。BMIが日常になった2050年、頭の中のイメージを直接人の脳に伝達するアーティスト、マヤの、おじいちゃんとの関わりが近未来の「リアリティー」として描かれている。
IoBは、破壊的イノベーションの創出を目指す内閣府の制度、科学技術振興機構ムーンショット型研究開発事業のひとつ。その目標1「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」として、国際電気通信基礎技術研究所の金井良太氏をプロジェクトマネージャーとして実施されている。BMIサイバネティック・アバターを「倫理的課題を考慮して開発する」としている。
『.raw(ドットロー)』はこちらで読める。
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