安定化した7.62mm機関銃やケブラー追加装甲などを備えた重量17t、8輪のBTR-82Aは、もともとは輸出向けだった。だが、ロシア国防省は2013年、初めて自国向けに発注した。
BTR-82Aは旧型のBTR-82、BTR-80、BTR-70よりも防御力や武装が強化されている。だがそれは、ウクライナ東部ドネツク州ドネツク市の北西に位置するアウジーイウカ周辺での戦闘で、この車両を救うことはなかった。
BTR-82Aは地雷を踏んで車輪を失ったり、ひっくり返ったりしたあと、砲弾の餌食になった。19日、ロシア軍の連隊は1日でBTR-82Aを少なくとも13両失った。ほとんど、あるいはすべてアウジーイウカ周辺での損失だった。ロシアがウクライナで拡大してから1年9カ月目になる戦争で、同じ種類の車両の1日の損失としては最悪のものになった。
⚡️Destroyed and damaged 🇷🇺Russian BTR-82A during today's assault in the Avdiivka area pic.twitter.com/N42354Vlkc
— 🇺🇦Ukrainian Front (@front_ukrainian) October 19, 2023
アウジーイウカ周辺で大量のBTR-82Aが壊滅させられたのは、BTR-82Aの設計者の責任ではない。ロシア軍は最近、厳重に要塞化されたアウジーイウカを攻略しようとしては失敗してきたからだ。それによって、この日に限らず、毎日何十両も車両を失っている可能性がある。
ウクライナ軍参謀本部によると、ロシア軍の連隊は19日から20日にかけての24時間で戦車も50両一気に失った。損失率は戦争拡大以降の平均のおよそ20倍に達する。
ロシア軍はBTR-80をおよそ1500両運用しており、うち数百両をBTR-82Aが占める。したがって、BTR-82Aの13両という損失数自体はそこまで深刻ではない。だが、続行中の作戦で、たった1日でBTR-82Aを13両も失ったことは、ロシア軍の指揮官らを愕然(がくぜん)とさせているに違いない。
今回の損失はほかの国なら政治危機を引き起こしてもおかしくないレベルだが、ロシア軍はアウジーイウカに対する攻撃を当面やめそうにない。とはいえ、1日で13両のBTR-82Aをはじめ数十両の車両を失ったとすれば、ロシア軍は30日後いったい何両を失っているだろうか。
(forbes.com 原文)