通常、上水道管の漏水は、地面に埋められている水道管を辿りながら音を聞いて確かめている。すべての水道網をしらみつぶしに調べるわけで、相当な労力と経費と時間がかかる。しかも、確実にわかるとは限らない。そうした問題に対処すべく、JAXA認定ベンチャーの天地人は、衛星ビッグデータと機械学習を組み合わせた「天地人コンパス 宇宙水道局」サービスを開発した。
「宇宙水道局」は、500機以上の人工衛星で収集した膨大な地理空間ビッグデータと、地域ごとの水道管の素材、敷設年数、腐食要因などの情報を機械学習で統計学的に解析し、1辺100メートルの区画ごとに漏水リスクを評価する。そのため長い時間をかけて水道管を片っ端から調べるのではなく、ピンポイントでの調査が可能になる。2022年に行った内閣府との実証実験などで、このシステムにより点検費用が最大65パーセント、調査期間が最大85パーセント削減可能との評価を受けた。
青森市企業局水道部は、市内をいくつかの区画に分け、漏水発生頻度に応じて3年から5年のサイクルで導水量調査を行い、調査区域をスクリーニングして漏水調査を行ってきたが、市の給水区域を一度で調査できる「宇宙水道局」は作業の効率化と、有収率(給水量に対する収入)の向上が期待できると話している。
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