しかし、ここでもまた「典型的」なバルーク大学の学生は実際には存在せず、卒業後に期待できる結果は、何を専攻するかによって決まる。バルーク大学の経営学科の卒業生は、卒業の4年後に8万8000ドル(約1320万円)の収入を得るようになる。ところが、同大学で社会学を専攻した場合の収入は4万1000ドル(約610万円)にとどまり、経営学を学んだ同級生の半分にも満たない。
大学進学希望者に助言をする人は、こうした違いを率直に伝えるべきだ。大学を卒業するだけでは、学費や学位取得に費やした時間を回収できないこともある。大学全体のランキングではなく、個々の学科のランキングが考えられなくてはならない。バルーク大学の経営学科はまだ上位に位置付けられるかもしれないが、社会学科は下位にとどまる可能性がある。学生は大学教育に多額の学費を投じる前に、こうしたことを知っておく必要がある。
学科ごとのランキングを整備することは、コンピュータ科学や工学ほど「稼ぐことのできない」専攻に進むことを決めた学生にとっても有益だ。心理学に興味のある高校生は、ハミルトン大学の心理学科の卒業生が卒業の4年後に7万3000ドル(約1100万円)の収入を得ていることを知っておくと良いかもしれない。ミズーリバプティスト大学で同じ学問を専攻した卒業生の収入は、わずか2万4000ドル(約360万円)だ。
大学ランキングの見直しは長年の懸案であり、報道各社が学生の経済的成果をランキングに取り入れ始めたのは喜ばしいことだ。だが、学生の利益に資するためには、より抜本的なランキングの見直しが必要だ。報道機関は大学ごとに格づけをするのではなく、学生の専攻する学問によって結果がどう違ってくるのかに焦点を当てることを検討すべきだ。
(forbes.com 原文)