若い世代の成功の可能性を最大化することでしょう。それは、学生たちに社会課題を認識させ、アイデアを思いついた彼らの背中を押してあげる、そして必要な人的ネットワークを紹介するといったことです。もしあなたが学生で、何かアイデアをもっているのなら、そのアイデアを社会に出してください。寝かせたままではダメです。
日本人がもつ「協調性」は世界で戦う強みになるでしょう。かつて、ロボットなどの技術分野が強かった時代は、さまざまな分野の専門家がチームとなり、団結して製品を作り上げていました。最近は、日本の居心地が良すぎるのか、残念ながらそういう動きは少ないですが、日本人の起業家がもっと世界に挑戦して、それを日本人が支援すれば、世界で戦える可能性はあると思います。
取材後記
ダッシャー先生は「若い世代の成功の可能性を最大化することが、とても重要。アイデアを思いついた学生の背中を押し、必要な人的ネットワークを紹介しましょう」とおっしゃっています。
私はスタンフォード滞在中、ダッシャー先生の率いるセンターに所属していました。私自身、滞在中に、ダッシャー先生から何度も背中を押され、ネットワークを紹介してもらいました。スタンフォードに入ったばかりのころは「(世界トップクラスのこの場所で実績のない私が)こんなアイデアを実現するのは不可能なのでは?」と躊躇することが多かったのですが、そのたびに、「何を恐れているのですか。やってみないとわからないですよね」とまっすぐな目線、温かな口調で励まされました。
日本の発展に必要なのは、まさにダッシャー先生のような指導者なのではと思います。そして、スタンフォードには彼のようなマインド・姿勢を持った指導者が何人もいるわけです。それが、スタンフォードの強さなのだろうと思います。
※この記事はジャーナリスト尾川真一(フルブライト奨学生)とともに取材しました。
リチャード・ダッシャー◎スタンフォード大学アジア・米国技術経営研究センターのセンター長。シリコンバレーと日本、さらには中国、韓国、インドなど、各国の大企業やスタートアップにネットワークを広く持ち、企業、大学、アクセラレーター、ベンチャーキャピタル、非営利団体の顧問アドバイザー等を多数務めている。スタンフォード大学で言語学の修士号と博士号を取得。