2023.10.08 10:30

不機嫌顔のイケメン「新型アルファード」は最上級の仕上がり


乗用車的なドライビングポジションでありながら視点が高く、ドライバーは気分よく前方を見渡せる。オーナーに対して、「毎回運転席に座るたびにBピラーに書かれたALPHARDのエンブレムを目にして、『あなたは日本一の高級ミニバンに乗っている』という特別感を演出する」と、トヨタ側はいう。 

内装も思い切り一新している。VIPの移動手段としても使われることが多いため、室内には過度な装飾は施されず、その落ち着いた印象を褒めたい。木目の部分には屋久杉の木目をモチーフとする「UZURAMOKU」という素材を使っている。シートやドアトリム、ダッシュボードにはソフトで上質な素材が使われ、居心地と気持ちのいい空間になっている。



しかも静粛性もこのクラスではトップではないか。メーターパネルやセンターコンソールは品があるけど、デザインはそれほど冒険していないので、落ち着いた高級感を感じる。

でも、やはりアルファードの目玉の一つは2列目の「エグゼクティブラウンジ」専用のキャプテンシートだね。自動のサイドドアを開けると、そこはもうビジネスクラスの世界が広がる。プレミアムのナッパ本革を使っており、これはいかに完成度が高いか。トヨタ車としては初めてレールとの間に防振ゴムを採用したほか、シートバックには低反発ウレタンを使っているので、座り心地はピカイチ。

前方に広がる足用のオットマンをせり出し、思い切りリクライニングすればまったりした安楽姿勢が取れて、眠気を誘う。シートを立たせて回転格納式テーブルを使うと、飛行機のビジネスクラスにいるような心持ちになる。



アームレストには脱着式のマルチオペレーションパネルが仕込まれていて、空調やオーディオ、マッサージ機能、サンシェードの開閉、照明などをスマホ感覚でコントロールできる。ハイテクで、ゴージャスそのもの。座面の両サイドがはね上がる3列目のシートも悪くない。短い距離なら、大人2人は平気で座れる。



パワーユニットは2.5リッターのガソリンエンジンと、2.5Lハイブリッドの2種類だ。駆動方式は前輪駆動(FF)とEーFour(4WD)があり、その組み合わせで6種類がラインナップされる。試乗車はFFで、価格は850万円で、4WDの場合は872万円になる。先代モデルから大幅にアップした価格にびっくりしたけど、注文が殺到しているので、市場は高すぎると感じていないようだ。

エンジンとモーターを合わせたハイブリッドシステムの最高出力は250psなので、加速は十分と言える。逆に言えば、1時間ほど車重2200kgのミニバンを高速道などで乗ったけど、パワー不足は感じなかった。言い換えれば、低速からの急加速は気持ちいいぐらい。
次ページ > 実は「燃費」も魅力的。

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事