アプリやウェブサイトの詳細なモックアップを作成する同社のプロトタイピング・ツールは、少数のデザイナーの人気を得ていたものの、売上高は2019年後半に記録した400万ドルをピークに低迷を続けていた。
フェイスブックの元デザイナーである2人は、アムステルダムのカフェで昼食をとりながらある結論にたどり着いた。それは、モックアップを実際のウェブサイトとして構築できるようにソフトを進化させることだった。
「Framerでウェブサイトをデザインし、パブリッシュボタンをクリックすればウェブサイトが完成し、われわれがホスティングもする」とボックは説明する。
ウェブサイトの作成を支援するWixやSquareSpace、ワードプレスの親会社のAutomatticなどのスタートアップは大きな成功を収めている。しかし、ファン・ダイクとボックは、ウェブサイト構築において複雑なニーズを抱えた企業は専門チームを雇うか、競合のウェブサイト・ビルダーであるWebflowを利用するケースが多いことに気付いた。
「従来、企業はFigmaのような1つのツールを使ってウェブデザインを行い、実際の構築は別の場所で行っていた。われわれは、そこにビジネスチャンスがあると考えた。デザインと構築が別々に行われていることが、プロセスを非効率にしていたからだ」とボックは言う。
アムステルダムに本社を置くFramerの売上高は、新プロダクトをリリースしてから1年半足らずで4倍の1000万ドル以上に達した。同社は、シリーズCラウンドで2700万ドルを調達し(評価額は非公表)、今ではシリコンバレーの投資家やFigmaなど競合企業も、同社のノーコードのパブリッシングツールとその成長を注視している。
ボックとファン・ダイクは、2011年にMac用アプリのスタジオ「Sofa」をフェイスブックに売却した後、2015年にFramerの開発を開始した。2人は、しばらくカリフォルニア州メンローパークで過ごしていたが、フェイスブックでモバイルデザインに携わっていたときに直面した問題を解決するビジネスを立ち上げるため、アムステルダムに戻った。
Framerの高品質なデザインツールは、リリース直後から好評で、グレイロックやアクセル、欧州のアトミコなどのベンチャーキャピタルの支援を獲得した。アトミコは、2017年のシリーズAと2018年のシリーズBに参加した。しかし、その後、Framerの売上高は下降線を辿り始め、創業者の2人は新たなツールをリリースした。