「誰もが飛行機に乗るように自由に地球と宇宙を行き来する未来の実現」を目指す東京理科大発ベンチャーのSPACE WALKERは、再使用可能なロケットを液化バイオメタン燃料で飛ばすという環境負荷の少ないスペースプレーンを開発中だ。同時に開発が進められ、すでに一部商品化されている極低温液体推進複合材タンクにより、大きな軽量化も実現する。また機体開発に留まらず、それを利用したビジネス展開も視野に入れている。
日本には、1980年代から「有翼飛翔体HIMES」計画というものがあった。それが航空宇宙技術研究所と宇宙開発事業団による宇宙往還機「HOPE」の開発計画につながり、2003年にJAXAが発足した後も引き継がれたが、技術的な問題などで頓挫してしまった。そのとき、10年近くにわたりHOPE開発に携わっていた米本浩一氏がSPACE WALKERの取締役CTOを務めている。なので、これは国家計画の直系プロジェクトとも言え、それだけ確かな技術的背景がある。
SPACE WALKERは、2027年に準軌道に衛星を打ち上げる実験機の飛行を計画している。今回、文科省の「中小企業イノベーション創出推進事業」に採択されたのはこの事業だ。さらに2029年には乗員2名、乗客6名を乗せて準軌道まで飛行できる有人スペースプレーンの初飛行を目指している。この補助金には、日本の衛星打ち上げ能力向上が急がれるなか、民間のロケット開発を強力に支援する狙いがある。民間企業のスピード感でロケット開発が加速することが期待される。
プレスリリース
※初出時、タイトルおよび本文の学校名が間違っておりました。関係者のみなさまにはご迷惑をお掛けしましたことをお詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。