北米

2023.10.02 14:00

イーロン・マスクが米メキシコ国境訪問、「移民問題」で熱弁

イーロン・マスク(Getty Images)

イーロン・マスク(Getty Images)

イーロン・マスクは9月28日、テキサス州の米国とメキシコの国境を訪れ、自身の目から見た南部国境の移民たちの現状を伝えた。彼は、移民問題という新たな政治的議論に加わると同時にX(旧ツイッター)を市民ジャーナリズムの場所として宣伝しようとしている。
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黒いカウボーイハットにサングラスをかけたマスクは、メキシコからの移民が急増している国境の町、テキサス州イーグルパスを訪れ、その模様を収めた動画をXに投稿した。彼は、移民が置かれた現状を「メディアのフィルターを通さず」に見るため、そして何が起こっているのかを正確に知るために現地の当局者や法執行機関と面会したと語った。

その中には共和党のトニー・ゴンザレス下院議員が含まれており、彼はマスクに現地を案内し、この問題への彼の関心に感謝した。約1280キロにおよぶ国境沿いを選挙区とするゴンザレス議員は、移民たちが見捨てられたと感じていることや、現地の当局者らの苦労がほとんど報じられていないことをマスクに伝えた。

自身も南アフリカ生まれの移民であるマスクは、移民の受け入れに前向きであることを強調し、米国は移民制度を「大幅に拡大」する必要があると付け加えた。彼は「勤勉で誠実で、国に貢献する意志を持つ人であれば誰でも」受け入れるべきだと述べている。
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しかし、彼は「法を犯そうとする人々」の入国を阻止することを求め、不法移民を抑制するために国が行動を起こさなければ「社会サービスが崩壊する」と主張した。マスクはまた、ニューヨーク市がすでに「負担に耐えかねている」と付け加えた。

マスクは以前「政治とは関わらないようにする」と語っていたが、政策批判や言論の自由の推進、自身の事業を有利に導く法案のためのロビー活動など、政治的論争の中心にたびたび身を置いている。

彼は以前から米国の移民政策を公に批判しており、特にドナルド・トランプ前大統領がさまざまなビザを停止し、イスラム教徒が多数を占めるいくつかの国からの渡航者を禁止する決定を下したことを非難した。しかし、国境の壁を含むいくつかの政策に対する彼の意見は時とともに変化し、現在は国境の壁を支持すると述べている。

「市民ジャーナリズム」を推進するマスク

移民問題は、賛否が分かれるテーマであり議員らの関心も高い。CBSニュースが報じた連邦政府のデータによると、南部国境を不法に越えて当局に逮捕された移民の数は、9月に記録的水準に急増し、月初の20日間は1日あたり平均で約6900人が逮捕されていた。

移民の急増により国境だけでなく、全米各地の法執行機関や福祉機関、支援制度がすでに疲弊しており、この問題は2024年の米大統領選の主要なテーマの1つになりつつある。

マスクの今回の訪問は、移民問題に焦点を当てたものだが、彼はこの訪問をXの市民ジャーナリズムを宣伝するための機会としても利用した。「一般市民が現場のナマの状況を伝えることが、世界を変えることにつながる。もっと市民ジャーナリズムを奨励してほしい。スマホから簡単にライブ動画を配信できる」と、彼は呼びかけた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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