しかし、同社は今年に入り新たな市場への参入を目指し、テック系メディアへのアピールを強化している。同社は先週、ベネチアで豪華なイベントを開催し、新モデル「Zero 30」を発表した。
もう1つの中国ブランドであるTecnoも昨年、同じような取り組みを行っている。実は、InfinixとTecnoは兄弟ブランドで、いずれもTranssion(伝音科技)の傘下にある。しかし、Tecnoがハイエンド市場に参入したのに対し、Infinixは手頃な価格のモデルへの注力を継続している。同社が先週発表した新モデルの価格は約330ドルだ。
Infinixのチーフ・マーケティング・オフィサーのレイク・フーは、若者に手頃な価格のスマホを販売する最良のチャンネルはEコマースだと考えている。
フーは、同社に入社する前、東南アジアで人気のECモールLazada(ラザダ)のモバイル・プラットフォームを率いていた。当時、彼は中国のスマホブランドRealme(リアルミー)の東南アジア市場参入や、サムスンの格安スマホブランドMシリーズの立ち上げを支援し、それ以前は、Xiaomi(シャオミ)でRedmiのサブブランドを担当し、東南アジアでの成長に貢献した。
フーは、これまでの成功体験をInfinixで再現しようとしている。彼によると、Infinixは若いユーザー向けの機能を搭載したスマホの開発に注力しているといい、ベネチアでは自撮り機能を特化したユーチューバー向けのスマホや、高画質ディスプレイが特徴のゲーミングスマホを発表した。
「エントリーレベルやミドルレンジの端末は機能を絞り込む必要がある。私の戦略は、若い消費者がどのような機能を求めているかを見極め、不要な機能を省くことで魅力的な価格にすることだ」とフーは話す。
彼は、その一例にゲーミングスマホ「GT 10 Pro」を挙げる。この端末は、ゲームに適したフラットディスプレイパネルと360Hzのレスポンスレートを備え、ゲーム体験を向上させている。彼によると、前面カメラの機能を「そこそこ」に抑えることで240ドルという魅力的な価格を実現したのは正しい判断だったという。実際、GT 10 Proはリリース初日に完売した。
一方、ローンチしたばかりのZero 30は自撮り機能を強化しており、4K/60fpsで動画を撮影することができる。