オーハイ市議会は9月26日、ゾウの自由権を定義・保護し、ゾウによる権利行使の妨害を禁止する条例を可決。これによりオーハイでは、動物保護区に相当する広さのスペースがない限り、ゾウの飼育ができなくなった。現在同市には、動物園も保護区もない。
条例は、市議1人と動物保護団体ノンヒューマン・ライツ・プロジェクト(Nonhuman Rights Project)が立案。きっかけとなったのは、1980年代に同市で娯楽目的に飼育されていた一頭のゾウだった。
同団体によると、「Tarra(タラ)」と呼ばれたこのゾウは見せ物にされ、ローラースケートを履かされて歩かされることもあった。1995年、テネシー州に新設されたゾウ保護施設に移され、同施設のゾウ第1号になった。
著名動物学者のジェーン・グドールが役員を務める同団体は、類人猿、ゾウ、イルカ、クジラなど、全米で飼育されている多数の動物種について、「法的人格と身体的自由の基本的権利を認める」ことを州や郡の当局に働き掛けている。
同団体は声明で、オーハイの条例を「歴史的」と評し、「自由を奪われたゾウたちが苦痛を受けていることは明白であり、その苦痛は動物福祉法で終わらせることはできません」と訴えた。
一方、動物と野生生物に関する法律に詳しい政治アナリストのジャスティン・バーカーは、地元紙カリフォルニア・グローブに対し、「オーハイの条例は、やや常軌を逸している。誰かが同市にゾウを持ち込み、条約に直接挑戦することを誘発するだけだ」と批判した。
条例は警察が執行できるとされるが、違反行為に対してどのような罰則が科されるのかは不明だ。
(forbes.com 原文)