アマゾンは、アンソロピックのAI技術を自社の製品やサービスに使用する。アンソロピックは、主要なクラウドサービスとしてアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を利用し、アマゾンのカスタムAIチップ開発を支援する。アマゾンは今回の出資でアンソロピックの「少数株主」となると説明したが、その詳細は明らかにしていない。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルと英紙フィナンシャル・タイムズが報じたところによると、アマゾンは出資の第1弾として12億5000万ドル(約1860億円)を支出するという。
アンソロピックはマイクロソフトが支援するOpenAIの主要なライバルと目されている。今年5月にグーグルなどから出資を受けた資金調達ラウンドでの評価額は約50億ドル(約7400億円)だった。
アンソロピックは、以前OpenAIで働いていたダリオ・アモデイとダニエラ・アモデイの兄妹が2021年に設立。OpenAIのChatGPTやグーグルのBardに似た「Claude(クロード)」というAIアシスタントを提供している。アンソロピックは、クロードには「憲法」のように機能する倫理原則が組み込まれており、ChatGPTなどよりも安全な製品だと主張している。
AI分野でライバルのマイクロソフトやグーグル、メタに対抗するアマゾンは先週、自社の音声アシスタント「アレクサ」の最新版に生成AIを搭載すると発表した。ただ、アンソロピックのAIが用いられるかは定かではない。
マイクロソフトは今年初めにOpenAIに100億ドル(約1兆4900億円)出資し、49%の株式を取得。その後、OpenAIの言語モデルは検索エンジンのBingや、Office、Windowsなどさまざまなマイクロソフトの製品やサービスに導入されている
グーグルは昨年、アンソロピックに3億ドル(約450億円)出資した。今年初めには、グーグルクラウドがアンソロピックの「優先クラウドプロバイダー」となり、両社が協力して「AIコンピューティングシステムを共同開発する」ことが発表された。
今回のアマゾンからの出資により、グーグルとアンソロピックの計画が影響を受けるかは不明だ。25日付のフィナンシャル・タイムズの記事で、ダリオ・アモデイはグーグルとの協定は「何も変わっていない」と語ったが、詳細には触れなかった。
(forbes.com 原文)