ハッシュタグが認識を高める一方で、具体的な社会的変革を起こす効果は限定的であるという合意が世界的に高まっている。
興味深いことに「woke」現象は男女交際の世界にも浸透している。これは、たとえそれが自分のほとんど知らない話題に関する見せかけの知識や情熱を意味しているとしても、人は適切であると信じる物語に自分を当てはめるためには何でもやるということを示している。
では、これから私たちはどうすればいいのか? どうすれば、自分たちをミームに変えることなく「woke」状態でいられるのか? 心に留めておくべきことが2つある。
1. 現状維持に対して批判的であることは必要、トレンドではないことを理解する
常に進化し続ける社会の中で、民主主義は必ずしも国民の関心を優先しない歯止めの利かない政権に対抗するために不可欠な存在だ。健全な民主主義は、注意深い国民によって結果責任が確保されることで成り立つ。「woke」であることは、この警戒心を認識し維持することだ。しかし、wokeであることを追究しようとすると、容易に確証バイアスの罠にはまってしまう。皮肉なことに、情報を得たいと思う欲求は、しばしば誤情報を受け入れやすくする。単一の情報源に頼り過ぎていればなおさら。
Thinking and Reasoningに掲載された2023年の研究は、誤情報に関わる認知科学に注目し、人々の見せるさまざまな反応を明らかにした。直感で即座に偽データを受け入れる人もいれば、熟考の結果正当化する人もいる。しかし入念な思考を経て、ウソを見抜ける人はわずかだった。
本研究の主著者であるシェーン・リトレルが的確に指摘しているように、私たち1人1人が「生産的な疑い」を実践する必要がある。それは、主張を検証することを推奨する懐疑的思考だ。この知的謙虚さ(自分の信念が間違っているかもしれないことを受け入れる態度)は、情報が民主化されているオンライン空間では特に、wokeでいるためだけでなく、私たちの幸福、決定、行動、すべてに関する安全弁になる。