レオパルト2Rは、重量69トンのレオパルト2戦車の砲塔を取り払い、英ピアソン・エンジニアリング社が手がける地雷除去用の全幅の鋤(すき)を装着した乗員2人の装甲工兵車だ。フィンランドのパトリア社が6両だけ製造した。
フィンランドは6両をすべてウクライナに供与した。言い換えると、ウクライナが失ったレオパルト2Rはどれも代えがきかないものだということだ。少なくとも同じ車両では。
ウクライナにとって幸運だったのは、韓国企業の現代ロテムがK600という似たような障害物除去車両を生産していることだ。韓国紙の朝鮮日報によれば、このほど韓国政府はウクライナにK600を2両提供することを決めた。「できるだけ早期」に引き渡す予定だという。
K600は、米国のM-1戦車の韓国版にあたるK1戦車の砲塔を取り除き、鋤、多関節の掘削アーム、磁気感応式の地雷を安全に爆発させる装置などを追加した戦闘工兵車だ。重量は62トンで、レオパルト2Rと同じく2人乗りとなっている。
K600はピアソン製の2種類のドーザーブレードに対応している。くさび形のブレードは、埋められた地雷を掘り起こして脇に押しやるのに最適だ。直線状のブレードは、塹壕を埋めたり防壁を掘り崩したりといった一般的な工兵作業に適している。
現代ロテムは2020年に韓国軍にK600を初納入した。韓国政府とウクライナ政府は今年5月にK600の譲渡について協議を始め、韓国側は今月ようやく引き渡しを認めた。ただし、ウクライナ側はK600を「人道的」な目的でのみ配備しなくてはならないとの条件が付けられている。
この条件は無意味である。工兵が敵の攻撃にさらされながら行うものも含め、どのような地雷除去任務も人道的と言えるだろうから。
K600がウクライナ軍のどの部隊に配備されるのかは現時点で不明だ。第47機械化旅団ではないかもしれない。同旅団はザポリージャ州の地雷原で動けなくなったレオパルト2R3両を回収済みで、損傷の程度が比較的軽かった2両については修理を進めている可能性もあるものの、使えるレオパルト2Rは減っている。