ビジネス

2023.09.15 18:00

地銀4行と「正反対」の東京ガールズコレクションが手を組む理由 

ひろぎんホールディングス・部谷社長は「地域総合サービスグループとして銀行を中心としたさまざまな事業展開に備え、地域活性化に向けた取り組みを行っている。広島を中心に、就職などをきっかけとした若年層の人口流出が深刻化している。

今後、地域が持続的に発展して行くためには、未来を担う若年層が主体となり地域の魅力を生み出すとともに、住み続ける若年層が不可欠。これを促進するため、W TOKYOと連携し若年層への圧倒的な発信力を誇るTGCのプラットフォームと弊社ならではの情報とネットワークをかけ合わせることで地域の魅力を高めることを実現したい」と期待を寄せた。 

山梨中央銀行・古屋頭取は「W TOKYOとはすでに『TGCフェス山梨』という全国初の野外フェスを始め、さまざまな取り組みを行っている。その中でTGCのブランド力に大きな可能性を感じた。地元ではあまり価値がないと思われまたものに脚光が当てられ、輝いた。地域が熱狂する、活力が生まれるすごい取り組みだと共感した。

W TOKYOと金融が融合し、掛け算しながら、まったく新しいシナジー効果が生まれる。これは新しい金融プラットフォームを作り、金融の新しいビジネスモデルにもなりえるかと期待している」とこれまでの協力体制を深化させる方針を明かした。 

つまり、それぞれ地域の活性化と若年層の人口流出阻止対策としてW TOKYOの力を借りたいという思いは一様だ。

地銀と初の連携協定 

これまでも地方創生を推進してきたW TOKYOにとって地方銀行との連携協定は初めて。なぜ、いま地銀と手を組むのか。 

「現在、約30の自治体と取り組み行っており、そこで地方銀行に非常に温かいご支援を頂いた。地域の魅力を発信するイベントなどさまざまなプロジェクトを行ってきたが今後、上場企業として拡大する中で、どうやって1700の自治体との取り組みを促進できる考えたところ、地場で一番強いのは地方銀行だと気づいた。またお互いの強みがまったく違う両者だからこそ、それぞれを生かした取り組みができる。我々もひとつのターニングポイントを迎えるなか、発起人として今回、賛同頂いた地銀との提携に至った」と、村上代表はその意義を強調した。 

今後については「東京ガールズコレクションというプラットフォームは若い人たちに支えられて発展してきた。一方で各地方の課題は若者の流出。若い世代と地方の魅力を発信していくために一緒に何ができるか、各銀行と話し合い(具体策に)取り組みたい。W TOKYOはまだ40人ばかりの会社。地銀と連携し、投資することで、これまでできなかったアセットを提供ができればと考えている」と話し、地方創生に貢献する投資戦略を検討する。 

最後に古屋頭取からは「わくわくするW TOKYOと、その正反対でわくわくしない地銀の取り組みがこれからの地方創生の起爆剤になると思っています」と話し、笑いも誘った。

W TOKYO側から持ちかけたこの協定。地銀が呼応した背景には、各地域が抱える切実な課題感がある。今後は、W TOKYOが培ってきたブランディングやコンテンツプロデュースを通じて、地域での新規事業や地方企業の価値向上につなげていく。

文=松永裕司(Forbes JAPANオフィシャルコラムニスト)

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