日本能率協会マネジメントセンターが、従業員500人以上の企業に勤めるビジネスパーソンを対象に、対話型AIとコミュニケーションに関するアンケート調査を行った(回答数は2631人)。その結果、対話型AIについては約半数の人に使った経験があり、使ったことのある人の6割以上が対話型AIの利点を理解し肯定的に考えていた。使ったことのない人は、肯定派が5割を大きく下回る。ところが、「仕事の問題解決」や「悩み相談」は人間のほうがいいと答えたのが、経験者も未経験者も変わらず7割強という結果だった。この傾向は世代を通じてほぼ変わらない。
テレワークに関しては、できるだけ出社したいと考えている人が6割を超え、6割近くが出社したほうが仕事がしやすいと考えている。さまざまなシチュエーションにおいて対面を好む人が多い。コミュニケーションの心理的ハードルが低いのはどちらかという問いでは、対面と答えた人は6割弱と多数を占めたが、チャットツールのほうが楽だという意見は4割強と、テレワーク肯定派のなかではもっとも支持が多かった。
この調査では、対話型AIやテレワークの利点と弱点がよくわかる。事務的な質問では、感情を交えず明確に答えてくれるAIを活用し、人間的な相談事は人間に、と使い分けていることがわかる。テレワークにおいても、リモート会議よりも対面のほうが細かいニュアンスが伝わりやすく、話し合いがうまくいくと多くの人は感じているようだ。
人間よりAIのほうがずっといい、なんて結論でなくてホッとする部分もあるが、間違いなく今後数年で、AIがもっと人間的になりリモート会議で微妙なニュアンスが伝わるようになる。そのとき人間関係がどうなるかは、技術を使う側の意識の問題だろう。過渡期である今は、調査に見られるような使い分けが賢明なようだ。おそらくそれが、今後の技術の発展の方向性を決めていくことになる。
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