スピンローンチは、ヒモに石を結び付けてぐるぐると振り回し、手を離すと石がぴょんと飛んでいく、あの原理を応用している。スペースローンチではこれを、「ウルトラローコスト」な「キネティック・ローンチ」(動的打ち上げ)と呼んでいる。大型のロケットで打ち上げる場合にくらべて、燃料コストと二酸化炭素排出量はともに70パーセント以上削減できる。動力は太陽光発電による電力。柔軟性、即時性もあり、安価で、なにより環境負荷が小さいことから、ロケットによる衛星打ち上げコストが高騰する昨今、期待が寄せられている。
現在は準軌道まで打ち上げ、あとはロケットで軌道まで上昇する「サブオービタル・アクセラレーター」の開発を進めている。高さ50メートルほどの装置で、真空にした円形のチャンバーの中で、ビークル(小型ロケット)を取り付けたカーボンファイバー製のテザー(アーム)が高速回転する。準軌道まで飛んでいける十分な速度に達したところでビークルはテザーから切り離され、エグジットトンネルから打ち上がる。飛行を終えたビークルは回収され、再び使用される。2022年の間に、さまざまな条件で10回以上の打ち上げテストが行われた。かなりの遠心力がかかるので、当初、衛星はとくに頑丈に作る必要があるかと思われたが、スピンローンチは通常の衛星でも十分に耐えられることを確認している。
サブオービタルの次は、衛星軌道まで飛ばせる大型の装置「オービタル・アクセラレーター」を計画している。チャンバーの直径は約90メートル。テザーの回転速度は時速約8000キロメートルに達する。打ち上げに必要な燃料コストはロケットの4分の1、コストは10分の1、しかも1日に何度も打ち上げができるようになるとのことだ。
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