北米

2023.09.08 14:00

アップルとエヌビディア株価暴落、時価総額約37兆円失う

アップルらしくない暗い1週間になった(Getty Images)

アップルとエヌビディアの株価が9月8日、2日連続で暴落した。シリコンバレーの巨人たちにとって珍しい不調の連続は、今年の両社それぞれの爆発的売上に対する懸念に煽られたものと見られる。

アップル株は東部標準時午後2時25分までに3.4%下落した。Bloombergの記事が、中国は一部の政府職員および国有企業の従業員に対するiPhoneの使用禁止を検討中であり、同社売上の約5分の1を占める中国での強さに陰りが見えたと報じた後のことだ。

前日にもアップルは3.6%を下げており、9月5日以来6.9%安という、世界で最も価値ある企業にとって昨年11月以来、2日間で最も急激な暴落となった。

エヌビディア株も7日に約3%下げ、2日間での下げ幅は5.5%となり、S&P 500の2023年最優良銘柄として珍しい不調を経験している。

人工知能コンピューティングのリーダーであるエヌビディアの株価低迷は、怪しげな陰謀論がX(旧ツイッター)で増殖する中で起きた。エヌビディアが出資しているクラウドコンピューティングのスタートアップで、企業価値約80億ドル(約1兆2000万円)といわれるCoreWeaveの売上を虚偽報告することで、同社AI部門の収益を水増ししたというものだ。

その陰謀論は「ばかげている」と、Bernsteinのアナリスト、ステーシー・ラスゴンが「極めて不本意ながら」送ったクライアント向けのメモに書き、投資家に対して「あなたの投資理論をツイッターの有象無象から取り入れない」よう促した。

2500億ドル(約37兆円)。これは、アップルとエヌビディアがこの2日間に失った時価総額だ。

アップルとエヌビディアは、今年の主要株価指数の上昇の大部分に寄与しているテクノロジー株7銘柄のうちの2銘柄であるため、堅調な市場の深さに対する根深い疑問を引き起こしている(7大銘柄の残りは、アルファベット、アマゾン、メタ、マイクロソフトおよびテスラ)。アップル、エヌビディアともに、今年史上最高値を記録しているが、それぞれの軌跡は大きく異なる。アップルは今年42%高への安定した道を歩み、第1、第2四半期に収益予測を5%および6%上回ったことで、テクノロジー志向の強いナスダックで32%上昇した。一方エヌビディアは、直近四半期だけで141%成長した同社のAI事業に対する爆発的期待を受け、株価を3倍以上上げた。

「ナスダックは、1つの腐ったりんごが、多くの超大型テック株を駄目にするように低迷しています」とOandaのアナリスト、エドワード・モヤが9月7日に書いた。ナスダック100指数は過去2日間に2%以上下がり、S&P 500の1%以上の急落となった。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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