フードロスの闇「隠れフードロス」の削減を目指す

プレスリリースより

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フードロスとは、一般に食品として食べられるにもかかわらず廃棄されることを言う。農水省の発表では2019年度のフードロス量は約570万トン。しかし、規格外農産物や料理の際に捨てられる野菜屑などの食物残渣はフードロスには含まれず一般廃棄物扱いとなっていて、その量はなんと約2531万トン。いわゆるフードロスの4倍だ。これを「かくれフードロス」と呼び、革新的な技術でアップサイクルする企業が大規模な資金調達を行った。表に出ないもうひとつのフードロスに産業界の注目が集まっている。

フードテックベンチャー、ASTRA FOOD PLAN(アストラフードプラン)は、循環型フードサイクルの構築を目指して「かくれフードロス」の削減に取り組んでいる。わずか5秒から10秒で食材を殺菌し乾燥してパウダー状に加工する「過熱蒸煎機」を使い、栄養素や風味を損なわずに食物残渣をアップサイクルして「ぐるりこ」というブランドで販売している。またその一環として、吉野家で出たタマネギの端材から作ったパウダーを使ったオニオンブレッドをポンパドウルが販売している。

食物残渣のアップサイクルは乾燥にコストがかかることから進んでいなかったのだが、ASTRA FOOD PLANが開発した過熱蒸煎機は、殺菌と乾燥を10秒以内で行うため製造サイクルが短く採算ベースになる。しかも、蒸気を使うために食材の風味が損なわれない。これは、同社の代表取締役社長、加納千裕氏の父で過熱水蒸気オーブンの開発者である加納勉氏の20年にわたる研究の末に完成したものだ。同社はこの装置の販売も行っていて、各地域での循環型フードサイクルの推進にも力を入れている。
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父から子へ、20年かけて挑む究極の循環型ビジネス

ASTRA FOOD PLANはこのほど、PE&HRをリード投資家に、アグリビジネス投資育成、三菱UFJキャピタル、シードラウンドからの既存投資家IDATEN Venturesを引受先とするシリーズAラウンドの資金調達を実施した。これで累計調達額は2億2000万円となり、JAグループへの過熱蒸煎機の導入、循環型地域モデルの構築、国内外の事業展開を加速させるとしている。これまでゴミとして扱われてきた食物残渣や規格外農作物を減らす事業に、こうした機関投資家が乗り出したことはじつに心強い。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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