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2023.09.12 16:00

暗号資産取引のための合同会社を作る方法、注意すべき点

onurdongel / Getty Images

これはなにか

実際に暗号資産取引のために合同会社を設立したトレーダーによるレポートです。

なぜ書くか

昨今の暗号資産市場および日本の個人における暗号資産取引の課税状況を鑑み、筆者と同様の目的で会社設立を検討している(または本記事によって検討する)読者が一定数存在し、記事を執筆することに一定の社会的意義があると判断したため。

なぜ会社を作ったか

税制上の利益を享受するため。個人としての暗号資産取引による利益は雑所得となるため、例えば会社員なら会社からの給与所得と合わせて累進課税で適応されます。所得が合計900万円以下であれば23%の所得税と法人税の23%と同等となります。

しかし900万円を超えると33%、最大で4000万円を超えた場合は45%の税率が適応されます。かつこの税率については直近改善される予定もない状況です。

これらの状況を鑑み会社設立に至った、というのが背景です。

そのほか、経費の計上や損失の繰越、暗号資産関係なく会社として業務を受諾、サービス運用を行う予定であることも理由として含まれます。

下記は国税庁の「所得税の税率」の引用です。

所得税の速算表

<課税される所得金額>

:195万円以下 →税率 5%、控除額 0円

:195万円を超え 330万円以下 →税率 10%、控除額 97500円

:330万円を超え 695万円以下 →税率 20%、控除額 427500円

:695万円を超え 900万円以下 →税率 23%、控除額 636000円

:900万円を超え 1800万円以下 →税率 33%、控除額 1536000円

:1800万円を超え 4000万円以下 →税率 40%、控除額 2796000円

:4000万円超 →税率 45%、控除額 4796000円

法人であればどの程度の税率が適用されるか

法人税の実効税率は、法人所得のそれぞれの額面に対して、

800万円以下:15.0%

800万円超:23.2%

と2段階に分けて適用されます。

※資本金が1億円以下で適用除外事業者でない法人の場合。詳細はこちらを参照:法人税の税率(国税庁)

そのため、単純に税額を適用して計算することはできません。

所得が1500万円の場合は、下記になります。

<所得ステージ 800万円以下>

適用税率:15.0%

→計算式:800万円*15.0% = 税額:120万円

<所得ステージ800万円越>

適用税率:23.2%

→計算式:700万円*23.2% = 税率:162.4万円

<合計>

120万円+162.4万円=280.4万円

280.4万円/1500万円で18.6%となります。

なお、法人は個人と比較して経費適用範囲が増えたり、個人であれば所得控除が存在することなどもあり、単純な税率の差だけで法人設立の判断を行うことは推奨しません。

なぜ株式会社でなく合同会社なのか

暗号資産取引を行うためには合同会社で十分に要件を満たしており、かつ株式会社と比較し設立費用が抑えられるため。後述しますが、筆者は7万円強の費用で会社を設立できました。株式会社の場合ではおおよそ24万円以上が経費として発生しこの差額分の経済的利益を享受したいというのが主な理由です。

▼発生する費用に関してはこちらを参照
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