宇宙

2023.08.24 07:30

インド無人探査機、月面着陸に成功 南極付近は世界初

インドの首都ニューデリーで月面探査機「チャンドラヤーン3号」の月面着陸成功を祝う人たち(2023年8月23日撮影、Kabir Jhangiani/NurPhoto via Getty Images)

月面探査は近年、世界的に関心が再燃している。とくに、凍った状態の水の存在が注目されており、こうした氷は将来、月面有人の基地を建設する場合に重要な役割を果たす可能性もある。
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氷は月面のさまざまな場所で見つかっているが、南極の永久影(太陽光がまったく届かない領域)に最も大量に存在すると考えられている。

米国の「アポロ計画」で宇宙船が着陸し、宇宙飛行士が降り立ったのは太陽光の当たる領域だった。暗い南極付近に着陸するのはそれよりも難易度が高い。

月への着陸は今年4月、日本の宇宙スタートアップispace(アイスペース)が挑んだが、月面に衝突して失敗に終わった。今月はロシアもおよそ50年ぶりに無人の月探査機「ルナ25」を打ち上げ、インドに先んじて南極着陸を狙ったものの、先週末、着陸を試みる前にやはり月面に衝突している。
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とはいえ、月の南極をめざす世界的な競争は始まったばかりだ。米国はNASA主導の「アルテミス計画」で2025年ごろに有人宇宙船を月面に送り込むことを目標に掲げ、南極付近への着陸を計画している。

中国は数年内に「嫦娥6号」と「嫦娥7号」という2つの月探査計画を予定しており、嫦娥7号では2026年に月の南極付近に探査車を着陸させる方針だ。中国の宇宙機関は2030年には有人のミッションを実施し、月面に基地を建設することも計画する。

これらの月探査計画は新たな宇宙開発競争の一環とみられている。ネルソンは主に米中間の競争になるとの考えを示す一方、中国は南シナ海の島でやっているように南極の支配を試みるかもしれないと警鐘を鳴らしている。

中国は月面の植民地化や支配を狙っているという見方を繰り返し否定し、米国は宇宙を「戦争をする領域」のように規定しようとしていると非難している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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