どの起業家も経験があるでしょうが、私はときどき急にアイデアが思い浮かんでは、衝動的に行動に移したくなることがあります。こういうときは、書き出してみることでしっかり考え抜くことができ、明らかにダメなアイデアを速やかに排除できます。
他にも、Memoを書く際にはそれを読んだメンバーがそれぞれどう反応するか考えることが必要とされるため、リーダーとしての共感力を引き出す効果もかなり高いと実感しています。
チームメンバーが各自のペースで読めるという点も、Memoの良いところです。
トピックによって、理解に必要な時間は人それぞれです。知識や経験、視点が異なる横断的なチームを管理する場合、この「ギャップ」は特に顕著なものとなるでしょう。
しかしMemo形式であれば、全員がそれぞれ十分な時間をかけて内容を読み、できる範囲で理解に努め、そのあと必要に応じて質問や気になる点を直接ドキュメントに加えることができるのです。
このフィードバック・ループは、Memoで述べている考えをより洗練させる効果もあります。さらに質問やコメント自体が内容の補足となり、メンバー全員が同じ理解を共有する上でも役立ちます。
また、質問やコメントをMemoの段階で早めにもらうことで、より時間をかけて取り組むべき共通の懸念事項を特定できることにも気づきました。
同時に、ドキュメント内で重要度の低い質問に答え、解決しておくことで、チームミーティングで全員の時間に使わずに済むという利点もあります。
そして最後のメリットは、このプロセスのおかげで同じことを繰り返し説明する手間がかなり減ったことです。
過去のManagement Memoのストックは、これまでの考えの経緯や説明の資料として、同じような質問があったときや新しいメンバーが加わったときに共有できます。
また、それらの資料を今後のManagement Memoとリンクさせることで、新しいMemoを読むときに過去の説明も確認できるなど、各メンバーが内容をより理解することにも役立ちます。
このプロセスは一見面倒に見えるかもしれませんが、最終的には組織の透明性や連携、効率を大幅に高めることにつながります。会社の規模を拡大しようとしている起業家に、ぜひお勧めしたい取り組みです。
実はこの「書くことによるマネジメント」が個人的にあまりにも効果的であると実感しているため、LP投資家向けの報告においてもこのアプローチを活用しています。直近のLP投資家向け年次レターは、実に20ページ以上もの長さでした。しかし、それを書くことによって、投資家だけではなくファーム全体に対してCoral Capitalのパフォーマンスや戦略的な取り組みを以前よりずっと明確に伝えることができました。