本当は芸人をやっていたいのに、仕方なしに別の仕事をしないといけない。そんなふうにも思えるかもしれませんが、大久保さんは、そうは考えませんでした。だからOLとしても活躍できた。また、もしかするとそれが芸人としての大きなブレイクにもつながったのかもしれません。
幼い頃、友達に言われたひと言
そもそも芸人がOLとして仕事をする、というのは不思議に思えますが、学校を出たら、働くのは当たり前だと思っていたといいます。「それは親の背中を見ていたからかもしれません。父親は中学を卒業すると地元の工場で働き、朝、家を出て、夜になると戻って来るという毎日を定年まで続けていました。母親も働き者でした。だから、働かないという選択肢はありませんでしたね」
そのなかで自分のやりたいことができれば一番いいのかもしれないけれど、それだけではないかなという思いもあったそうです。実は、芸人になるのにも偶然の要素が大きかったといいます。
「私自身、どうしても芸人になりたくてなったわけではないんです。決断しないといけない時期になると、誰かにひょいと引っ張られてきた」
なぜか自分のなかに根拠のない自信もあったといいます。
「幼少の時、友達に言われた『かよちゃって、面白いよね』というひと言に支えられてきただけのような気がします」
ただ、何をするにしても、何か人にいい影響を与えたいと思ってきたといいます。
「誰かを心地良くさせられたり、喜ばせたり、笑わせたり。自分がかかわることで、誰かが気持ち良い生活が送れるようになったらいいなあと」
芸能界は、厳しい競争の世界です。新しい才能が次々に出てきます。超人気を誇る重鎮たちもたくさんいます。ここで長く生き抜いていくことは生半可なことではできません。
そんな芸能界を長く見つめてきて、大久保さんは売れている芸人には共通項があると感じていると語っていました。
「ちゃんとしていることです。気づかいができて、常識があって、優しい人が多い。ふんぞり返ったりすると、すぐにうわさは広まります」
それこそ、バラエティー番組の司会をやっているような人たちは、人としてもとても魅力的だといいます。この人のために頑張ろうと思わせる何かを持っている。
「上に立つ人はやっぱり違うな、と思いますね」
芸人でありながら、OLとしても働いた若い時代。朝、テレビ番組の打ち合わせをして、それからOLの仕事をして、夜はテレビ番組の収録ということもあったそうです。
長い人生を充実させるためにも、若いときは思い切ってほしいとも語っていました。
「失敗してもいいし、キャリアの方向を変えてもいいし、同じ会社でずっと頑張るのもいい。感覚や思いつきで、無茶をしてもいいと思います」
何をするか、どこで働くか、ではない。大事なことは、自分に納得できるということ。人生を充実させるための、大久保さんからのメッセージです。