ターミネーターは戦車と並走して敵の陣地に突撃できるほど強力だ。また、高速で発射できる高射機関砲を装備しており、俊敏な敵歩兵との戦闘にも十分対応できるほど機敏に動く。
ロシアの武器輸出企業ロスオボロンエクスポルトは、高い発射速度と2つの光学センサーによりBMPTは「空中」で交戦できるとさえ主張する。
この主張は今となっては少し虚しく響く。ウクライナの特殊作戦を専門とするアルファ部隊が8月12日にある映像を投稿した。爆発物を積んだ1人称視点(FPV)のレーシングドローンが、ウクライナ東部ドネツク州でロシア軍がまだ有するターミネーター9両のうちの1両を追いかけ回す様子が映っている。
ロシア軍は2月に、ウラルバゴンザボード社が同軍のために製造したBMPT10両のうちの1両をウクライナ東部での砲撃で初めて失った。先週末には2両目を失った可能性がある。ドネツク州にいたターミネーターに手榴弾を搭載したFPVドローン数機が攻撃をかけた。
#Ukraine: A Russian BMPT "Terminator" tank support fighting vehicle was taken out of action and T-80BV was damaged by the Ukrainian SBU "Alpha" using several FPV loitering munitions and indirect fire near Spartak, #Donetsk Oblast. pic.twitter.com/IcYLcxbDAJ
— 🇺🇦 Ukraine Weapons Tracker (@UAWeapons) August 12, 2023
わずか5000ドル(約73万円)ほどと安価なFPVドローンは、1年半におよぶロシアとウクライナの戦争で最も費用対効果の高い対車両兵器だ。敵の装甲車両を損傷させたり破壊したりするのに、両軍とも仮想現実(VR)ヘッドセットを介してオペレーターが操縦する高速飛行のドローンを配備している。
ウクライナ軍のユーリ・シチホリ准将は「FPVドローンはまさに、我が軍の兵士が犠牲になるリスクを下げるために生かすべきものだ」とフォーブスの寄稿者セバスチャン・ロブリンに語った。
重量900〜1360グラムのFPVドローンを撃ち落とすことは不可能ではない。だがレーシングドローンは小型で、時速約128km超の速さで飛ぶ。また、群れをなす可能性があるため、対応は難しい。
ターミネーターの乗員が先週末のFPV攻撃を防げなかったのも無理はない。防空車両のオペレーターはレーダーで砲撃のタイミングを図れるかもしれないが、ターミネーターの乗員がドローンを撃ち落とすにはドローンが接近してくるのを確認しなければならない。
BMPTは突撃車両であり、歩兵襲撃もできる。だが防空車両ではない。5000ドルのドローンの集団がそれを証明した。
(forbes.com 原文)