ビジネス

2023.08.23 16:30

なぜいま「NEW SALES」が必要なのか?

「進化」に焦点

労働人口のおよそ10%もが従事している「営業職」が、かくも厳しい状況に置かれたままでよいわけがない。本アワードの選考では、どれだけ優れた営業活動をおこなっているかではなく、いかにして古い体質から営業組織を変化させたかという「進化」の内容に重きを置いた。

審査項目には、1. 顧客志向 2. 組織力 3. データ活用 の3つを設けた。

受賞企業の5社は、そのいずれにおいても「社内を縦横断するコミュニケーション」を重要視することで進化を遂げていた。これは「新しい営業」が単なる部門の売り上げ増加を狙ったものではなく、全社で取り組むべき経営戦略の一環だと認識されていることの表れだ。新しい挑戦によって営業職の生産性と満足度を高めようとする「NEW SALES」の概念の共有こそ、各社が共通して目指したものだった。

また、担当者らがこれらの挑戦を「楽しむ」姿勢を貫いてきたことも「新時代の営業」を体現するポイントとして評価された。麻野が提案するプロダクトやメソッドの根幹にも「仕事をもっと楽しくする」という思いが込められている。

「子どものころ、世界史の本を擦り切れるほど読み込んだ時期がありました。そこに登場する人類の歴史は、争いと飢餓に満ちていました。現代の日本に生まれた僕たちが、戦争で殺されることも食糧不足で飢えることもない、人類史上限りなく稀有な幸せを手に入れているのも、先人たちの苦労あってこそ。

ならば僕も、何か未来の人類に役立つことがしたい。そこで僕は、人類が数千年に渡ってとらわれている『労働は苦役なり』という考え方を変える挑戦をしようと決めました。娯楽が充実して余暇の過ごし方は飛躍的に進歩しましたが、仕事はまだまだつらく苦しいものだと多くの人に思われている。

ジョブズがiPhoneで世界中の人にコンピュータを届けたり、 ザッカーバーグがFacebookで世界中の人をつなげたりしたように、僕は『ナレッジワーク』というプロダクトで営業の生産性を高め、世界中で『NEW SALES』を実現していきたいんです」(麻野)もう「つらい」だけの営業に人は集まらない。セールスイネーブルメントにこそ、組織の真価が問われている。

編集=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年8月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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