そんな中、中国の支配下にある香港は暗号資産の新たな規制の下で、取引所に最初のライセンスを発行し、暗号資産取引を一般向けに開放した。
最初のライセンスは先日、香港の取引所のHashKey(ハッシュキー)とOSLに与えられた。この2つの取引所は、中国の特別行政区である香港市内で個人投資家に暗号資産の取引サービスを提供する。
ハッシュキーの広報担当者は、同取引所が「プロの投資家向けから個人投資家向けに事業範囲を拡大し、暗号資産の購入と保管をより安全でシンプルなプロセスで提供する認定済みのプラットフォームになることに成功した」と述べている。
OSLのヒュー・マデンCEOは声明で、同社が大きな先行者メリットを獲得したと宣言し「当社のプラットフォームの利用者は、ビットコインやイーサリアムを取引できるようになった」と述べた。
香港では2018年以来、暗号資産の売買が機関投資家などのプロに限定されていたが、当局は今年の初めに新たなライセンス制度を導入し、世界のビットコインと暗号資産のハブを目指すと宣言した。中国が2021年に行った暗号資産の締め付けは、突然の価格の暴落を引き起こし、トレーダーの間にパニックが広がった。
その中国が、暗号資産について再び前向きな姿勢を見せることは、次の価格の高騰につながるかもしれない。時価総額280億ドル(約3兆9000億円)のステーブルコインUSDCを発行するサークル社のCEOのジェレミー・アレアは6月に、中国とアジアを中心とする新興市場にデジタル資産の「巨大な需要」があると述べていた。
「香港が、デジタル資産市場とステーブルコインの市場で中心的役割を果たそうとしていることは明らかだ」とアレアは、6月に中国の天津で開催された「夏季ダボス会議」の会場でブルームバーグに述べていた。
現状でビットコインやその他のアルトコインの勢いは落ち着き、ボラティリティも減少している。
デリバティブプラットフォームSynFuturesのCEOのレイチェル・リンは「ビットコインは、2万9000ドルのサポートライン付近で持ちこたえ、回復力を示し続けている」と述べている。
「ここ最近のボラティリティの低下は、孤立した出来事ではなく、我々は、ビットコインとその他のコインが暗号資産の歴史の中で最も平穏な時期の1つにあると考えている。ビットコインのボラティリティは、S&P500や金のような安全資産の水準をも下回っている。この状況が続けば、ビットコインは暗号資産へのエクスポージャーを求めるリスク回避的な投資家にとっての選択肢となる可能性がある」とリンは続けた。
(forbes.com 原文)