2022年後半にChatGPTがリリースされた後、AIに高いエクスポージャーを持つハイテク企業のリターンは、人間のマニュアル作業に重点を置く企業よりも大幅に向上した。
NBERが発表したレポートは、企業の生成AIへのエクスポージャーによって分類されたポートフォリオのリターンプレミアムを分析したものだ。2022年11月から2023年3月にかけて、AIへのエクスポージャーが高い株式銘柄は、エクスポージャーが低い銘柄に比べて、1日平均0.4%という大きなリターンプレミアムを獲得していることが判明した。
多くのハイテク企業や情報関連企業はAIへのエクスポージャーが高い方に位置しているが、小売や運輸、物流、製造業などのセクターは低い方に位置している。OpenAIのChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)を活用したチャットボットは今後、これらの2つのセクターの企業のリターン格差を大幅に拡大する可能性がある。
業界内では、研究開発に重点を置く小規模なハイグロース企業のAIへのエクスポージャーが高い傾向にあり、このテクノロジーはすでに投資家の注目を集めている企業に大きなリターンをもたらすことが期待されている。
OpenAIがリリースしたChatGPTは、AIの可能性に対する期待に大きなインパクトを与え、そのリリース期間中に、エクスポージャーの高い銘柄と低い銘柄の間で0.43%のリターンプレミアムを発生させた。投資家は、生成AIの変革能力に関する最新の見解を市場全体の評価に急速に織り込んでいる。
今回のレポートで、ChatGPTのリリース後のAIにエクスポージャーを持つ上場企業の株価パフォーマンスは、エクスポージャーを持たない企業よりも年率リターンが100%以上高くなっていたとされた。
研究者によれば、生成AIは、テキストや画像、コード、その他のコンテンツの生成と合成を含む多くのタスクの自動化を約束しており、労働者の作業が非定型的な認知タスクに集中している企業に広く影響を与えることになりそうだ。
しかし、AIは一部の企業の生産性を向上させる可能性がある一方で、輸送や金融、不動産のようなマニュアルの作業が多い業界を混乱させる可能性もある。今回発表されたエクスポージャーの指標は、AIによる業種間の影響の違いを追跡するための貴重なツールとなりそうだ。
(forbes.com 原文)