カナダで6月22日に施行された「オンライン・ニュース法」は、インターネット企業に対し、自社のサイトやアプリに掲載されたニュース記事などのコンテンツについて、ニュース提供元と商業取引の交渉をすることを義務付けるもの。
メタの広報担当者アンディ・ストーンは1日のX(旧ツイッター)への投稿で「この法律は、根本的に欠陥のある前提に基づいている」と批判。メタが同法に従うためにはカナダでのニュース配信を終了する以外に方法はないと説明した。
メタは、フェイスブックのユーザーがフィードで見る投稿のうち、ニュース記事へのリンクがついたものは3%以下だと指摘。フェイスブックから報道機関ウェブサイトへのユーザー流入は推定1億7300万ドル(約250億円)の無料マーケティングに値すると主張し、この法律に反対してきた。
グーグルも、報道機関に対する支払いを拒否。6月下旬、カナダでの検索結果から同国のニュースサイトへのリンクを削除すると発表した。グーグルのケント・ウォーカー国際問題担当社長は、同法は「カナダのジャーナリズムを支援する上で間違ったアプローチ」だと述べた。
同法支持派は、広告収入の減少により苦境に陥っているカナダの報道機関を救うためのものだと主張している。与党・自由党のクリス・ビトル議員は5月、2008~21年にカナダ全土で450の報道機関が閉鎖されており、残された報道機関は閉鎖を避けるためにより多くの資金が必要だと主張。メタやグーグルなどのテック企業が、カナダでの2020年の広告収入総額約100億ドル(約1兆4300億円)のうち80%を手にしており、報道機関救済のための資金はこうした企業が支払うべきだと訴えた。
米カリフォルニア州でも、カナダのオンライン・ニュース法と同様の法律が成立する可能性がある。カリフォルニア・ジャーナリズム保護法と呼ばれるこの法案は6月、州下院を通過。今後、上院での審議が行われる予定だ。新法として成立すれば、メタは同州内でニュースへのアクセスを遮断する見通し。
2021年にはオーストラリアで、同様の法律が制定された。同国政府の報告書によると、この新法はおおむね報道機関に利するものとなっており、テック企業は同国の30以上の報道機関とコンテンツ提供料の契約を結んだという。グーグルとメタは、この法律に反発している。
(forbes.com 原文)